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- ECサイトで売れる商品写真と上手に撮影するテクニックを紹介
実際に商品を手に取ってみることのできないECサイトでは、商品画像はとても重要です。その良し悪しによってECの売上は大きく変わります。本記事では、初心者でも失敗しない撮影のコツを実例付きで解説。食品やアパレルなどの商品別の撮影方法も紹介します。
商品写真を上手に撮るコツとは?
ECサイトの商品写真をレベルアップするには、良い機材を選んで使うことと、「商品写真を撮るコツを抑える」ことが大事です。
まず機材ですが、本格的なカメラと業務用の照明を一式買い揃えると、ざっと50万前後〜100万円近くの費用がかかるので、初心者や中級者は手が出しにくいと思います。そこで今回は、撮影用の照明には少しこだわってLEDか小型ストロボを使い、カメラは手持ちのデジカメを使う方法をオススメします。
商品撮影用のカメラは、画質の良さや使い勝手を考えるとデジタル一眼レフ(安いものは5、6万円で手に入ります)がベストですが、コンパクトデジカメなら、上部に小型ストロボを装着できる金具(ホットシュー)が付いている機種をオススメします。
照明とカメラのほかには、背景紙、ディフューザー、レフ板も必要となりますが、これらの使い方は後ほど詳しく解説します。
【実例】良い写真と悪い写真
次の2枚の画像を見比べて、ECサイト用写真の良し悪しはなにで決まるのか、ちょっと考えてみてください。
まず商品写真には2つの大きな役割があります。
1つは「商品の特徴を的確に伝えること」、もう1つは「商品を買うと得られるメリットを伝えること」です。この2つが表現できていれば良い写真、つまり「購入者に伝わる写真=商品が売れる写真」だと言えるでしょう。
上のみたらし団子の写真を例にとると、良い写真はみたらし団子に目線を近づけて撮影しているので、照り感や焦げ目といったディテールまでバッチリ写っていて、食欲がそそられます。また、食べるシーンを想定した背景も一緒に写されているので、「家でお母さんと一緒に食べようかな」などとイメージが湧いてきます。
しかし悪い例のほうは、商品が小さすぎるのでディテールが分からず、実際に食べるシーンやおいしさも伝わってきません。普通に「商品を画面にきちんと収めよう」とするとこのように小さく写ってしまいがちなので、商品は大きめに写し、周りの余白が多くならないように心がけてください。
また商品写真は、ピントが合っていなければ即ボツです。ピント合わせは伝わりやすい写真を撮るための最低限の条件ですが、意外と難しいものです。ピントが合わない一番の理由は明るさ(照明)の不足なので、照明選びも大切です。
一旦ここまでをポイントにしてまとめておきます。ECサイトの写真を撮るときは、これらに気を配りましょう。
Point1. 商品の特徴を的確に伝える
商品の形やサイズ・色や質感・機能などの事実が分かるように撮影します。
Point2. 商品を買うと得られるメリットを伝える
商品の用途や使い方・美味しさや楽しさといったメリットが伝わるように撮影します。
Point3. 商品にピントが合っている
写真にメリハリが出て綺麗に見えますし、質感などの商品ディテールも伝わります。
※Point1だけに目的を絞った「物撮り」写真と、重点をPoint2に置いた「イメージカット」があるので、1商品につき両タイプの写真を撮影すると良いでしょう。
1. 明るさ(照明)の調整
商品写真の撮影は、基本的には室内で照明を当てて行い、イメージカットの一部を自然光や屋外で撮影すると良いでしょう。室内の照明は部屋に備え付けのものではなく、必ず撮影専用の照明を用意しましょう。照明や自然光の取り入れ方・調整方法のポイントは、次のとおりです。
Point1. 天井・床・壁は白いほうがスタジオ向き
部屋は全体的に白いほうが明るさを確保しやすく、写真に与える影響も少ないのでなにかと便利です。また部屋の窓は北向きのほうが、季節や天候、時間によって大きく変化する太陽光の影響を受けにくいです。ちなみに屋外での商品撮影は、明るい曇りの日が一番適していると言われています。
Point2. 光は真上から当てるか、斜めから当てる
照明は色々な当て方があります。基本的には、メイン照明は被写体(商品・モデルなど)の上から当てて、補助的な照明1灯をやや斜め上から当てます。補助的な照明を2灯用意できる場合は、被写体の左右両側やや斜めからライティングします。光を斜めから当てる理由は、被写体を立体的に見せるためと、影の濃さや角度を自然に調整するためです。
Point3. 光を調整して、光を回す
光の調整および光を回すやり方には、「透過(ディフューズ)」と「反射(レフレックス)」があります。照明を透過して柔らかくする道具がディフューザーで、照明を反射させて意図する方向へ光を回すための道具がレフ板です。どちらも撮影現場にはなくてはならないアイテムです。
ディフューザーとは?効用を紹介します
ディフューザーは光を柔らかくするだけではありません。面積が広いものは光を拡散する効果もあります。照明に合わせて選ぶのが基本なので、「ソフトボックス」や「傘トレ」と呼ばれるディフューザーが、照明とセット販売されていることも多いです。半透明のトレーシングペーパーもよく使われます。例えば強い直射日光が入る部屋では、窓にトレーシングペーパーを貼ることで光が柔らかくなり、撮影がしやすくなります。
レフ板とは?使い方を解説します
レフ板には、白色・銀色・黒色があり、持ち運びに便利な折り畳みタイプが市販されていますが、代わりにスチレンボードやアルミホイル、白や黒の布など身近なものを使うこともできます。たとえば、被写体の右側にしか照明を置けないときは、左側に暗い影ができてしまいます。そこで被写体の左側に白いレフ板を立てて光を反射させ、左側を明るくするのです。反対に黒いレフ板は光を吸収するので、あえて影を作りたいときや、商品のテカリを抑えたいときなどに使います。 レフ板の向きを変えながら、丁度良い位置にセットしてください。
撮影用照明とは?
撮影用の照明には、ストロボ、自然光、LED、蛍光灯、ハロゲンライトなど色々な種類がありますが、初心者~中級者にオススメなのはLEDとストロボです。LEDはスマートフォン内臓のフラッシュと同じ光で、動画撮影にもよく使われます。一方、ストロボはプロカメラマンが使う大型照明と同じ光ですが、初心者には小型のほうが比較的安価で使いやすいです。LEDとストロボだけでもたくさんの種類があるので、選ぶときの参考になる商品をいくつか挙げてみます。
LED照明(リングライト・スタンド式)
一般的に、直径36cm、スタンド(三脚)と組み合わせて使います。LEDは色が安定していて発熱しにくく、夏場も使いやすいメリットがあります。光量が多くて三脚に取り付け可能なタイプを選ぶと、卓上の小物撮影からモデル撮影まで幅広く対応できます。
スピードライト(クリップ式ストロボ)
スピードライトは、カメラ上部のホットシューに取り付けられる小型のストロボ照明です。明るいのでコンパクトデジカメでもピント合わせが簡単になります。卓上の小物撮影では、スピードライトをカメラから分離して被写体に向けて置き、カメラの内臓フラッシュに連動発光させる方法が便利です。カメラに取り付けた場合は、スピードライトの首の向きを変えて白い天井や壁に向けて発光させる「バウンス撮影」ができます。バウンスとは、天井や壁をディフューザー兼レフ板のように使い、明るく柔らかな光を被写体に届けることができるストロボのライティング方法です。白く低い天井がある室内では試す価値アリです。
※単体での使用はできません。
モノブロックストロボ(スタンド式)
プロ仕様のストロボのなかでは小型なものは「モノブロック」タイプだと言われます。スピードライトよりも光量があり明るいので、綺麗な写真を撮りやすくなります。スタンドに取り付けて被写体の上や左右から照らして使いますが、必ずソフトボックスや傘型のディフューザーを併用して光を柔らかくしましょう。
また、コンパクトデジカメはストロボを接続できない機種もあります。カメラ上部にホットシューがあればアダプタを付けて接続できる場合があるので、ストロボを手配する前によく確かめてください。
ストロボに挑戦するのはやや勇気がいりますが、安価な照明を何度か買い換えるより、モノブロックを買ったほうが結果的に安くつくこともあります。興味のある方は検討してみてはいかがでしょうか。
2. 背景の演出
背景には、厚みとハリがほどよくある半マット系の真っ白な紙(ケント紙や背景紙)が適しています。上から吊るしてゆるやかにカーブさせながら床面まで敷けば、セッティング完了です。背景紙が小さければ壁と机に固定することもできますが、モデル撮影用の広い背景紙は、重みを支えるための骨組みなど、なにかしらの装置が必要です。
商品をシンプルに物撮りするときの背景紙は、白、グラデーションカラー、黒などが一般的です。鮮やかな色紙を床面に敷くと、商品に色が反射しやすいので気をつけましょう。
おすすめ背景
商品のイメージカットを撮影するときは、背景にも演出を加えましょう。オススメは、丈夫でデザイン豊富な「壁紙(糊なしタイプ)」を背景紙として利用すること。ムラや凹凸などテクスチャー系の柄はもちろん、木目、タイル、レンガ、大理石、北欧風、和風などの種類が豊富で扱いやすいと思います。
実生活でも布と組み合わせることが多い食器や、ファッション小物などの演出には、布を使うと効果的です。もしも古典的で重厚感ある雰囲気(たとえば高級酒のギフトなど)で撮りたいのなら、背景紙代わりに使っても良いでしょう。しかし、綺麗に見えるシワの寄せ方などのテクニックが必要なので、多用は避けたほうが無難です。
また、装飾品や化粧品ボトルなどの透明感やキラキラ感がある商品は、アクリルボードやガラスを床面から少し浮かせた台に乗せて撮影すると、質感の強調や高級感が演出できるでしょう。
3. 撮影する角度
撮影角度を変えることによって、商品の印象はだいぶ変わります。
一般的に、高い目線や遠くから撮られた写真は、商品を客観的に眺めているような感じがします。一方、低い目線や近くから撮られた写真は、商品を触ったり使ったりするイメージが湧きます。前者は、商品の全体像が分かりやすいメリットがあり、後者は、実物を手にとってみたくなる効果が期待できるので、なるべく両方の画像を用意しましょう。
撮影角度は、左右と上下にカメラを動かして調整しますが、シャッターを押す前に「画面の水平(垂直)がとれていること」を必ず確かめてください。人は安定感のないものを見ると不安を覚えることがあると言われています。写真も少し斜めになっているだけでマイナスな印象を与えます。だからといって画像の傾きを加工修正すれば画質や作業効率が悪くなってしまいます。相対的なバランスを考えて調整しましょう。
また、ツヤのある商品の接写や、アクリルやガラスを台にした撮影では、角度によって撮影者が映り込んでしまうことがあります。角度を変えるか黒レフなども使いつつ調整してみましょう。
商品の使用イメージ写真を載せよう
イメージカットを撮影するときは、商品の使い方や使用メリットが分かるようなシーンを考えて、それを室内や机の上に再現してみましょう。商品を手に撮った様子や、他のものと一緒に撮影するだけでも、商品サイズを的確に伝えることができます。
またソフトな雰囲気のイメージカットを撮りたいときは、自然光で撮影したり、室内ではディフューザーを使ったりして、光と影が柔らかくなるように心がけましましょう。商品の一部だけにピントを合わせて、そのほかをぼかしぎみにすることも1つの方法です。一方、メンズのシルバーアクセサリーのようにハードな雰囲気を強調したいときは、照明をまんべんなく当てるのではなく、左右のどちらか片側から当てて、メリハリや陰影を付けると力強い写真になります。
イメージカットはシーン設定を考えるのが難しいと思いますが、「この商品を使うのはだれ?どういうときに使う?」と自問自答しながらアイディアを膨らませていきましょう。また、他社のECサイトや雑誌などもチェックして、良いところ、真似できそうなところは参考にしてみてください。
商品別、撮り方のテクニック
ECサイトによって販売するものはそれぞれ違います。商材に合わせて撮り方を変えると、より伝わりやすい写真を撮ることができますので、商品別に簡単なテクニックをご紹介しましょう。
食品の上手な撮り方
食品がおいしそうに見えるように、パッケージに入ったまま写すのではなく、食べるシーンをセッティングして撮影しましょう。食品撮影の基本テクニックの一つが、「照明を逆光ぎみにする」ことです。メインの照明や補助的な照明を商品のやや後方から当てると、立体感が出ますし、ドリンクなどは光が透けて綺麗に見えます。
ただ、強い光を後方から当てると手前の影が濃くなるので、食品のディテールが潰れてしまわないように、ほどよい逆光を心がけます。特に注目して欲しい箇所にはしっかりとピント合わせることも忘れないようにしましょう。
アパレル商品の上手な撮り方
アパレル商品の場合、購買層がワンランク上であると感じさせることが、売上アップには大事です。イメージに合う人物モデルを使って撮影できれば一番良いですが、難しい場合はマネキンを使ったり、関連する小物と一緒に写したりして、着用したときのサイズ感や、コーディネートのイメージが分かるような写真を用意しましょう。
照明は商品と同じくらいの高さにして、左右のやや斜め前から当てます。必ずディフューザーやレフ板を使って光を回し、洋服やバッグなどの軟質な素材感が伝わるようにします。
また、「#置き画」や「#置き画くら部」という言葉をご存知でしょうか?InstagramやTwitterなどのSNSで使うこのハッシュタグは、洋服やファッション雑貨を床に並べて置いて撮った写真をアップするときに使います。床に置くだけでも可愛い写真が撮れますので、1つのアイディアとして参考にしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
ECサイトは24時間365日オープンしているお店です。「これを売りたい」と思ったときに自分で写真が撮れるようにしておくと、効率的で、売り時をつかむことにもつながります。売上アップにつながる写真とは、伝わる写真です。商品を売るために綺麗な写真を掲載することはとても大切ですが、写真から想像できる商品の色味や質感、サイズ感などが実物と違っていたら、購入者をがっかりさせたり返品されたりするでしょう。商品の特徴やメリットを、できるだけ的確に伝えられる写真を目指しましょう。