レンタルサーバとは?仕組みや種類、選び方をわかりやすく解説

レンタルサーバとは?仕組みや種類、選び方をわかりやすく解説 レンタルサーバとは?仕組みや種類、選び方をわかりやすく解説

ECサイトを運用する際、多くのEC事業者にとって欠かすことのできないのがレンタルサーバサービスです。自分でサーバ機やそのサーバを設置するスペース、インターネット回線などを準備して運用するのとは違い、レンタルサーバを使えば簡単かつ安価にECサイトを公開することができます。ここではレンタルサーバの定義から、種別をわかりやすく解説するとともに主要な提供会社を紹介します。

レンタルサーバとは?サーバの貸出サービス

レンタルサーバとは文字通りサーバ設備の一部もしくは全てを個人や企業に貸し出すサービスのことです。「ホスティングサービス」や「サーバホスティング」とも呼ばれます。

ECサイトを公開する際は、そのためのサーバ機を購入して運用したり、サーバをインターネットにつなげるための回線を契約したりすることが必要です。しかし自分でその全てを準備しようとすると、高い費用がかかるうえに専門的な知識も求められます。サーバ機や回線に不具合が発生した際は、時間と手間をかけて正常な状態に戻すための対応もしなければなりません。

そこで、一定の月額費用を支払って、レンタルサーバを利用し、サーバ機や回線などの準備や運用をサービス提供元に任せることで、自分で行うよりも簡単で安価にECサイトなどを公開することができます。

サーバの役割

次にサーバの役割について、より詳しく考えてみましょう。サーバとは、ユーザ(クライアント)のリクエストに応じて、サービスやデータを提供する処理能力が高いコンピュータのことです。

例えば、ユーザがサイトを見たいと考えて、ChromeなどのブラウザソフトにURLを打ち込むとします。「お気に入り」から対象のサイトにアクセスしたり、Googleなどの検索サイトからアクセスしたりする場合も同じです。

サーバの役割

この例ではユーザがサーバに対して、そのサイトのデータを要求することになります。そしてサーバはユーザのリクエストを受けて、保存してあるサイトのデータを渡すわけです。

この時、そのサイトのデータが欲しいとリクエストするユーザのコンピュータと比べると、そのサイトのデータを保存しておいたり、不特定多数のユーザからリクエストを受け付けたりするサーバは、より高い処理能力が必要となります。処理を行う回数が多くなるため、その分だけ問題も発生しやすくなりますし、多くのユーザに同時にデータを渡すための十分な帯域をもったインターネット回線も必要です。

ドメインとレンタルサーバの関係性とは?

レンタルサーバを契約する際は、ドメインも一緒に決めて契約します。では、レンタルサーバとドメインにはどのような関係があるでしょうか。

ドメインとレンタルサーバの関係性とは?

例えば「example.jp」というドメインを使い、「https://www.example.jp/」というURLでECサイトを公開するパターンを例にとって考えてみましょう。このときexample.jpというドメインは「住所」にたとえることができます。同様にサーバは「土地」、ECサイトはその土地の上にたつ「家」や「建物」にたとえるとわかりやすいです。ECサイトといった家・建物を使うために、それを建てるための土地(サーバ)やその場所へ正確にたどり着くための住所(ドメイン)が必要になるわけですね。

同様にレンタルサーバとは、家(ECサイト)を建てるための土地(サーバ)を賃貸するサービスにたとえられるでしょう。住所にあたるドメインは、レンタルサーバ業者や専門のドメイン業者から取得します。

ドメインとは?ECサイト開業前に知っておくべき「独自ドメイン」を含めて詳しく解説

レンタルサーバの契約と費用について

レンタルサーバの契約や費用についても、土地の賃貸契約にたとえて解説します。たいていの提供会社では、レンタルサーバを契約する際に初期費用(敷金・礼金のようなもの)が必要です。さらに土地の賃料にあたる月額費用が別途必要になります。

契約期間は1ヶ月・3ヶ月・6ヶ月・12ヶ月など提供会社やサービスによってさまざまです。申し込みは、土地の賃貸で不動産会社のスタッフと対面で話をするように、提供会社の営業担当に直接会って話を聞くことができる場合もありますが、オンラインで完結するのが簡単で一般的です。

提供会社の公式サイトへアクセスし、オンラインの専用申込画面から手続きを行います。このとき、希望するレンタルサーバのプランやオプションを選び、契約者の情報となる会社名(法人の場合)や契約者名・住所、さらに支払い方法を登録します。多くのレンタルサーバサービスでは、一緒にドメイン取得の申し込みをすることが可能です。

レンタルサーバ種別表

ここではレンタルサーバサービスの種別を表形式にして紹介します。通常「レンタルサーバサービス」というと、これから紹介する共用サーバ・専用サーバ・VPS サービスまでを指すことが一般的ですが、ここでは同じようにサーバをレンタルしてECサイトを公開できるクラウドサービスも含めます。

NO 種別名 特徴
1 共用サーバ 同じサーバを複数のユーザで共用するサービス。サーバのスペックを共有するため、負担が高くなるが、その分低価格。またほかのユーザと共通の設定で利用する必要がある。
2 専用サーバ 1台のサーバを占有できるサービス。共用サーバと比較して高価だが、サーバの負担が高い利用も可能。また自由度も高い。ただし、OSのアップデートやソフトウェアの設定などユーザ自身で行う必要があるため、その分、専門的な知識が必要なうえに管理の手間がかかる。
3 マネージド専用サーバ 1台のサーバを占有できるのは専用サーバと同じだが、その管理を提供元に任せられるサービス。そのため専用サーバのように専門知識は求められず手間もかからないが、管理を任せる分、一般的に料金は専用サーバより高価。専用サーバ同様、サーバの負担か重くなるような処理も可能。ただしあらかじめ決められた設定を使う必要があるため専用サーバ程の自由度はない。
4 VPSサービス 同じサーバを複数人で共有するのは共用サーバと同様だが、「あたかも一人で1台のサーバを使っているような」特別な設定が施されたサービス。専用サーバよりも安価だが、同じくらい負担がかかる処理を行うことが可能。また自由度の高さも専用サーバに近い。
5 クラウドサービス
(パブリッククラウド)
インターネット上のサーバやストレージなどの資源を「必要なだけ」使えるサービス。専用サーバと同じように負荷の高い処理も可能な上に自由度も高い。必要に応じてスペックを後から追加したり削除したりもできる。ただし、その分専門的な知識は専用サーバ以上に必要となる。さらに、価格は使用するスペックに応じて専用サーバと比較してさらに高価になることも。

前項と同じように土地の賃貸にたとえると、共用サーバは、サーバ会社が所有する土地をあらかじめ家が建てやすくように細かく区画整理をしたり、斜面を平坦に手入れしたりすることで管理の手間がかからない建築用地に整えると言えば分かりやすいでしょう。専用サーバは、土地だけを借りるサービスなのでその上に建てる家の構造などは自由ですが、その分料金が高く管理の手間もかかります。

次のマネージド専用サーバは建物付きの土地を貸してもらうようなサービスで、すでに建てられた家を使うため自由度は低い一方で、管理の手間は土地だけを借りるよりはかかりません。次のVPSサービス・クラウドサービスに関しては、インターネットの世界に特化した専門のサービスなので土地の賃貸にたとえることはできません。

ただ、強いて言うなら、VPSサービスは「実際は賃貸マンションなのに『あたかも土地だけを借りているように』自由になんでもできるサービス」、クラウドサービスは「必要に応じて土地の広さも建物の大きさもいつでも自由にかえられる賃貸サービス」と言えるでしょう。

それほど規模の大きくない一般的なECサイトを運営するのであれば、安価で管理の手間も少ない共用サーバを選ぶのがオススメです。ただし、特別な設定をするときのように高い自由度が必要な場合や、大量のアクセスを集める大規模なECサイトを運営する場合などは、共用サーバ以外の選択肢が必要になってきます。

サービス提供会社ごとのレンタルサーバの種類

ここではレンタルサーバを提供する会社を6社一覧にして例示しています。これらの会社以外にもサイトの性質や、担当者のスキルによって、最適な選択肢が異なりますので、自分に合ったレンタルサーバを探してみてください。

NO 会社名 共用
サーバ
専用
サーバ
マネージド
専用サーバ
VPS
サービス
クラウド
サービス
(パブリッククラウド)
1 ロリポップ 提供 - - - -
2 さくらインターネット 提供 提供 提供 提供 提供
3 エックスサーバー 提供 - -*1 - -
4 カゴヤ・ジャパン 提供 提供 提供 提供 提供
5 WADAX 提供 提供 提供 - 提供
6 NTT コミュニケーションズ 提供 - 提供*2 - 提供

<2020年3月調べ>

*1 同じ会社で提供している別ブランド「シックスコア」では マネージド専用サーバも提供
*2 同社の「Biz メール&ウェブ プレミアム」は、正確にはマネージド VPS サービス内容はマネージド専用サーバとほぼ同じ

まとめ

レンタルサーバを適切に利用するためには、その概要や種別をまず把握したうえで適切なサービスを選ぶことが重要です。一般的には安価で手間もかからない共用サーバを利用すれば問題ありませんが、大量のアクセスを集める大規模なECサイトを運営する場合、特別な設定を自由に行いたい場合は、必要に応じてVPSサービスや専用サーバなどほかの選択をする必要があります。

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