「ECサイト運用の小技」代引き手数料を無料に設定してもネットショップが儲かる仕組み

「ECサイト運用の小技」代引き手数料を無料に設定してもネットショップが儲かる仕組み 「ECサイト運用の小技」代引き手数料を無料に設定してもネットショップが儲かる仕組み

ECサイトで「代引きサービス」を利用する際、手数料の設定がネットショップによって異なることをご存知でしたか?ネットショップが手数料を全額負担し、購入者の負担をゼロにするところもあれば、商品代金によって、数百円〜最大数千円までの手数料を購入者に負担してもらうところもあります。

あまり知られていないのですが、ネットショップごとに、代引き手数料の負担額を設定することができるのです。次に、具体的なシミュレーション例を通して「ECサイト運用の小技」を詳しく説明します。

代引き手数料はいくらに設定すべきか?

ECサイトの決済方法の1つに代引きサービスがあります。大半のネットショップは、代引き手数料がかかることをECサイト上に告知し、購入者に代引き手数料を負担してもらっています。
このように、あたりまえに思われがちな代引き手数料ですが、実は購入者に負担を求めるかどうかは、ネットショップごとに決められるのです。

それではまず、代引き手数料の負担パターンを説明します。

代引き手数料の負担パターン

代引き手数料の負担パターン

上表のように、負担パターンには
(A)購入者が全額負担
(B)ネットショップが全額負担
(C)購入者とネットショップがそれぞれ負担
の3つがあります。

各負担パターンを選択する動機とは

代引きサービスを導入しているECサイトは、経営方針により、どのパターンにするかを自由に選択することができます。当然ですが、どれを選択しても、決済代行会社より請求される手数料金額は変わりません。

実際に多いのは、Aパターンです。それは、「いくつかある決済方法の中から、購入者が好きな方法を選択するのだから、それに付随する手数料も一緒に負担してもらおう」という考えに基づいています。

一方、決済方法によって、支払い総額が変わることのないBパターンを採用するECサイトもあります。これには、AパターンのECサイトに差をつけたい、また、購入者の満足度向上を目指したいという思いがあるようです。

さらに、バリエーションが多いのはCパターンです。
代引き手数料を購入金額の総額に関係なく、一律○○円の金額で区切るケースもあれば、購入金額●●●円以上の場合のみを無料に設定するケース、また、期間限定で無料にするケースなど、さまざまです。後ほど、無料設定する場合の活用方法について、詳しく説明します。

【技あり】代引き手数料無料設定の活用方法

代引き手数料をネットショップ側が全額負担するBパターンに設定した場合、ネットショップにとって、その負担額は経費として計上することが一般的です。しかし実は、商品単価や現金、クレジットカードなどの決済方法によって、代引き手数料を無料に設定しても、ほかの決済方法よりネットショップの利幅が厚いケースがあります。これについて、具体的な事例を挙げて解説します。

【事例】代引き手数料を無料に設定した場合、ネットショップがどれぐらい儲かる?

代引き手数料の購入者負担額を無料に設定しても、儲かるシミュレーションを行います。

まず、ネットショップ1〜4が、それぞれ異なる商品決済額でECサイト運営することを比較条件として、仮定します。
次いで、7割の購入者が決済方法として選ぶクレジットカード決済時と、代引きサービス利用時のネットショップの収入増減を比較し、表にしてみました。
より実態に近づける比較表にするため、クレジットカードの決済手数料率は5%〜3.9%の幅に設定しています。※注1

【事例】代引き手数料を無料に設定した場合、ネットショップがどれぐらい儲かる?

※注1:クレジットカード決済利用時、一般的に「トランザクション費」や「システム使用料」は固定単価×件数ベースでの費用となるため、便宜上決済手数料3.9%と5%の2種類の料率で試算

上記比較表から、面白い傾向が見えてきました。

  • 商品決済額(≒商品単価)が1万円を超える場合、代引き手数料をネットショップ側で負担したほうが、クレジットカード決済時よりもネットショップの収入が増える
  • 商品決済額(≒商品単価)が上がれば上がるほど、代引きで決済される場合の増収分は、クレジットカード決済時より大きくなる

クロネコヤマトの代引き手数料の料金体系

ECサイト運用の技「代引き手数料無料設定によるコスト削減」

以上のことから、1回あたり平均単価1.1万円以上の商品購入者に対し、代引き手数料を無料にすることで、さまざまな決済方法の中から、代引きサービスを選んでもらうための力強い「プッシュ」になると言えます。代引きによる決済が増えると同時に、クレジットカード決済は減るため、ネットショップの収入増に貢献できます。

一方、クレジットカードを使うことにより、高額決済が可能となるため、購入者にもネットショップにも大きな利点があります。しかしその分、ネットショップが負担するクレジットカード手数料は高くなってしまいます。このことから、高額商品を取り扱うネットショップにとっては、購入者に代引きサービスを使ってもらったほうが、決済手数料に関するネットショップ側の負担が減少し、収入が増加することが分かりました。

このようなシミュレーション結果を分析で終らせないためには、「代引き手数料無料設定」をプロモーション施策とした「運用の技」を実行する必要があります。

例えばECサイト上で、購入者の目につきやすい場所に、わかりやすく「購入代金●●●円以上は代引き手数料0円」と告知・アピールしたり、リピーターに対する「代引き手数料無料クーポン」を発行したりするなどが考えられます。

このように、購入者が負担する手数料を無料に設定することはコストのかからない決済方法へと誘導できるだけでなく、収入増をもたらす「プロモーション施策」にもなります。

まとめ

いかがでしたか?代引き手数料を無料に設定することは、一見すれば、ネットショップ側の「費用」として捉えられますが、実は無料にすることで、「費用削減」と「収入増加」をもたらしてくれることもあるのです。これからECサイト運営を考えている方や運営方針に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

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