急激な受注増加にもスムーズに対応可能。ECと本業を両立しながらセール期の波を逃さないために事前に準備できることとは?

急激な受注増加にもスムーズに対応可能。ECと本業を両立しながらセール期の波を逃さないために事前に準備できることとは?

2022.10.11

ECと実店舗や他事業を並行するメーカーやショップにとって、売上アップの大きなチャンスと言えるセール期。消費者の購買意欲が高まるこの時期に「確実な成果を残したい」と思いつつも、イマイチ上手く立ち回れていないというEC運営事業者の方も多いのではないでしょうか?

セール期の波を逃さずに、EC事業を伸ばしていくためには、シーズン前に人員配置の最適化や出荷業務の負荷軽減の準備が必要です。次に訪れる年末のセールでしっかりと成果を上げるために、今からすべき準備について解説していきます。



なぜセール期で結果を出せていない? つまずいてしまう理由

まずは、セール期の波を逃してしまう理由について考えてみましょう。
代表的なものには、次のようなものがあります。

ECと実店舗や他事業を並行するメーカー、ショップがセール期に対応できない代表的な理由

1. 出荷業務の負荷の高さとリソース不足
2. BtoCのECの物流体制が整っていない
3. 店舗業務との両立、商品在庫スペースが確保できていない
4. セール期にかかるコスト(人件費・設備費・物流費)が高すぎる


自社の課題が見えていない状態では、改善の準備もままなりません。漫然と「上手くいっていない」と感じている場合は、まずこれらを参考に自社の課題を顕在化していきましょう。


1. 出荷業務の負荷の高さとリソース不足

ECと実店舗や他事業を並行するメーカーとショップの共通の課題であり、セール期対応の最も大きな課題とも言えるのが「急な受注量の増加に従業員が対応できない」という、出荷業務の負荷の高さとリソース不足です。
セール期にECの売上が伸びるということは、ECの出荷業務が増えるということ。通常期のリソースのまま乗り切ろうとすると、さまざまな面に支障が出てしまいます。

・従業員総出でECの出荷業務に追われて他の業務が止まってしまう
・業務効率が落ちて、ピッキングや梱包、発送などでミスが多発してしまう
・出荷業務に遅れが生じてお届けまでのリードタイムが安定せず、購入者からクレームを受けてしまう

出荷業務の負荷の高さやリソース不足は、以下で紹介する課題をはじめとした、さまざまな課題の帰結点でもあります。つまり、複数箇所に出荷業務の負荷の高さやリソース不足につながる課題があり、それらをどのように解消していくのかが、セール期対応のカギとなるのです。


2.BtoCのECの物流体制が整っていない

主に、工場で製造した商品や国内外から調達した商品を実店舗に卸売りする傍らEC事業も並行するメーカーや商社に多いのが、「卸や店舗納品(BtoB)の物流体制は整っているものの、個人向け(BtoCのEC)の物流体制が整備されていない」という課題です。
取引量やペースが比較的安定しているBtoBとは異なり、受注数が読みづらく、細やかな顧客対応が求められるのがBtoCのECビジネス。BtoBの物流体制のまま、BtoCのECのセール期に対応しようとすると、その波の激しさに対応できなくなってしまうのです。


3.店舗業務との両立、商品を増やすスペースが確保できていない

「直接お客さまと接する店舗業務を優先し、EC対応が後回しになる」「セール期の受注増加を見込んだ商品在庫を抱えるだけのスペースがない」「バックヤードの作業スペースが商品で埋まってしまい、作業効率が低下している」といった課題は、特にECと実店舗での販売を並行するショップが頭を悩ませがちな課題です。
一時的にスタッフを増員したり、在庫保管用の倉庫を借りることで状況の改善に手を打つものの、スムーズに業務連携ができず、かえって効率が悪くなってしまうというケースも少なくなく、店舗業務とEC業務をどのように棲み分けて効率化していくかは、ECと実店舗での販売を並行するショップにとっての目下の課題と言えるでしょう。


4.セール期にかかるコスト(人件費・設備費・物流費)が高すぎる

リソースや物流体制に問題を感じていないものの、セール期に利益を伸ばせていない場合は、セール期にかかるコスト(人件費・設備費・物流費)と売上のバランスに問題があると考えられます。

セール期にかかるコストを改めて見直してみると、想像以上のコストや労力が生じていることに気がつくはず。たとえば、臨時雇用で生じる人件費は、新規雇用者に対してだけではなく、採用活動や新人教育などを行う既存スタッフにもかかっています。セール用の倉庫の確保では、賃料に加えて、在庫拠点が増えることで工数増加や時間のロス、在庫の増加なども生じています。
セール期を乗り切るために残業や臨時雇用、倉庫の確保を行ったとしても、それらのトータルコストを上回る売上かつ通常期よりも一定以上高い利益率を確保できなければ、ただヒトやモノを増やしているだけ。その投資は意味を成しているとは言えず、最悪の場合は、現場に混乱が生じ、かえって利益率が下がってしまう可能性もあります。

いくらセール期とは言え、どのくらい商品が売れるかは不透明。「見込み」で人や設備を増やすことは、コストの増加、そして売上の伸び悩みにつながってしまいます。
つまり、リソースや物流体制に問題を感じていないものの、セール期に売上や利益を伸ばせていない場合は、人とモノへの投資、つまり固定費に課題があり、これらを最適化する必要があるのです。



セール期の波を逃さないために事前準備すべきこと

課題を解消して、セール期の波に乗ってECの売上を伸ばしていくためには、ECの多頻度小口配送に対応できる物流体制を整備することと、ムリやムダが生じている業務や環境を効率化・最適化していくことが重要になります。

そのために検討したいのが、迅速にEC向けの物流体制を整えることができるアウトソーシングを活用しながら課題の改善や効率化を進めていく方法です。

ここからは、アウトソーシングの活用で各課題を解消するために、どのような準備を進めていけば良いのか解説していきます。


・プロセスの一部をアウトソーシングして課題を解決する

アウトソーシングを活用して課題を解決していく上で、まず行うべきは「どこをアウトソーシングするのか」を見極めることです。その際に注目すべきは、最も手間がかかっているところ。出荷業務でいえば、トータルピッキング以降の受注別に対応しなければならない細かい作業工程。具体的には「帳票発行、シングルピッキング、梱包、出荷」の工程です。

 
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「帳票発行、シングルピッキング、梱包、出荷」の工程は、 EC業務の中で最も人手と場所と時間がかかる工程。ここをアウトソーシングで効率化できれば、出荷業務の負荷は大幅に軽減され、リソース不足の解消や人件費の最適化、注力したかった他業務への集中も実現できます。

また、アウトソーシングの準備を進めていく際には、効率的な出荷業務を行うための物流体制の見直しも同時に行うと、より盤石な状態でセールを迎えられるようになります。
EC業務における人員配置やオペレーション、受注から出荷までの業務フローなどを今一度見直し、どんな業務に負荷がかかり過ぎているのか、リソースが追いついていないのか、どこを内部で行い、どこを外部に委託するのか、といった点を明確にしていき、必要な部分のみアウトソーシングを活用して自社に最適なEC向けの物流体制を構築していきましょう。


・売れた分をすぐに出荷できれば在庫保管コストの課題もクリアに

物流プロセスの一部をアウトソーシングする方法は、在庫管理スペースやコストの課題解消にも一役買ってくれます。

例えば、毎日出荷業務を代行してくれるパートナー業者を見つければ、その日に売れた商品のすべてが当日のうちにピックアップされることになるため、店舗やバックヤードに商品が溢れかえって店舗業務に支障をきたしてしまうという心配は無用に。新たにEC用の倉庫を借りる必要もなくなり、店舗スペースの有効活用や在庫保管コストの最適化につながっていきます。

また、「出荷量に応じた従量課金体系」のサービスを選べば、売上の予測も立てやすくなり、攻めのEC運営も可能になるはず。こう考えると、一見、割高になってしまうような気もするアウトソーシングですが、実は時間とコストをかけて、自前の環境や人材へ投資を行うよりも、はるかにお得に課題を解決することができる手段だということがわかるはずです。

そのほかにも、出荷業務の効率化はお届けまでのリードタイムの安定にも直結するため、顧客満足度の向上といったメリットも期待できます。迅速にEC向けの物流体制の構築や業務の効率化を実現できるのがアウトソーシングの魅力。効果的なアウトソーシングを活用できるように、今からセール期に向けた準備を進めていきましょう。



より賢く、出荷業務のアウトソーシングを行う方法

最後に、出荷業務のアウトソーシングの賢い利用法を解説していきます。


・BtoBの物流体制はそのまま、BtoCのECの出荷業務だけを委託する

出荷業務は、自社が抱えるすべてをアウトソーシングするのではなく、BtoCのECの出荷業務のみを対象にして、BtoBの物流体制と併用しながら活用していきましょう。一度に多くのことに着手すると、現場に混乱が生じてしまう可能性も。BtoBの物流体制に問題を感じていないのであれば、あえてそれを変更する必要はありません。
アウトソーシングはあくまで、上手くいっていない部分を好転させるための手段に過ぎません。セール期の波に上手く乗れていない原因は「BtoCのECの出荷業務の負荷の高さ」。それ以上のアウトソーシングはコストの無駄遣いと言えます。セール期の忙しさは、ポイントさえ押さえられていれば、ミニマムの準備でも十分に対応できるもの。余計なコストや時間をかけずに、スムーズにセール期の準備を進めていきましょう。


・ピークカット専用で利用する

セール期間以外でも、「対応できていない受注が溜まっている定休日後」に、出荷業務の代行を利用するのもアウトソーシングの賢い使い方と言えます。
人件費をはじめとしたコストを考えると、内部で対応できるものは内部で対応するに越したことはありませんし、通常期に問題なく対応できているのであれば、その時期にアウトソーシングは不要と言えます。「出荷業務の代行はピークカット時のみ」とすれば、ムダな出費を抑えながら、スマートなEC運営ができます。


人員配置の最適化や出荷業務の負荷軽減が期待できるだけでなく、賢く利用することで、その効果を最大化することも可能なアウトソーシング。ECと実店舗や他事業を並行する事業者にとって、その存在は、目的達成に大きく貢献してくれるはずです。
準備なくしてセール期対応の成功はありません。まずは自社の課題を把握し、「どこを、どのように委託するのか」を明確にすることから、セール期の準備をはじめてみてはいかがでしょうか。

発見POINT

  • 出荷業務の後工程をアウトソーシングするだけで業務負荷が激減しリソース不足が解消

    大きなコストや長い時間をかけずに、セール期に対応できる物流体制を整えたいのであれば、トータルピッキング後の「仕分け、帳票出力、梱包、出荷」という出荷業務の中でも最も負荷が高い、後半の工程をまるごと代行してもらえるアウトソーシングの活用がスムーズです。在庫を預けることなく、日々の出荷作業が激減し、リソース不足が解消するほか、出荷量が増加しても受注商品を溜めずに出荷することが可能に。販促活動などの他業務への注力も可能になるので、将来的なビジネスの伸長にも貢献してくれます。

  • 出荷業務のアウトソーシングは、ピークカット利用が基本。定休日後の利用も効果的

    出荷業務のアウトソーシングは、受注が蓄積している定休日後に活用するのも効果的です。ピークカット時のみの利用であれば、支出を抑えながら、従業員に負荷をかけない、理想的なアウトソーシングの運用が可能に。注文が増えても担当者は安心して自分の業務に集中できるようになります。通常期に問題なく対応できているのであれば、繁忙期以外のアウトソーシングは不要。必要な部分のみアウトソーシングを活用して自社に最適なEC向けの物流体制を構築していきましょう。

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