まだまだできる経理の業務効率化。入金・請求業務の一元管理で実現する超効率化

まだまだできる経理の業務効率化。入金・請求業務の一元管理で実現する超効率化

2022.03.07

hd_0039_1

経理業務においては、「デジタル化で経理業務の作業負荷や時間を削減!その他の業務に取り組む時間に変換」の記事で、業務効率化やテレワークをはじめとしたオフィスに縛られない働き方を実現するための第一歩として、請求書などの紙媒体をペーパーレスに移行する脱・アナログから、デジタル化を進めていく必要性があることを解説しています。
    
ただし、経理業務における紙媒体のペーパーレス化は、業務効率化を目指す脱・アナログ推進施策の一つに過ぎません。そこで今回は、EC需要の増加や決済方法の多様化などによって、実務担当者の業務量増加や煩雑化が深刻化している「請求業務」にフォーカスし、効率化のポイントをまとめていきたいと思います。


決済手段の多様化への対応は顧客の購買体験価値を高め、企業を成長させる

請求業務は、「請求内容を確認・確定させて請求書を発行する」だけの業務ではなく、決済手段をはじめとした顧客情報の登録や管理、売上の回収を行う集金、未払い企業や個人への督促といった、さまざまな対応が求められる業務です。

EC企業の場合は、企業への請求(BtoB請求)と、一般消費者への請求(BtoC請求)という2種類の請求があり、請求先となる企業や個人ごとに上記の対応が必要になります。昨今のEC需要に比例した取引量の増加や決済手段の多様化などの影響もあり、企業や実務担当者において請求業務が、かなり負荷が高いものになってしまっていることは間違いなく、早急な改善が必要と言えるでしょう。


■BtoB請求で発生する主な業務 ※企業ごとの対応
取引先データ登録・管理/与信審査(掛売りの場合)/取引・発送/与信管理(掛売りの場合)/請求書発行・発送/集金/入金確認・売上処理/消込作業/入金督促/ 専用決済システム導入 など

■BtoC請求で発生する主な業務 ※個人ごと、決済手段ごとの対応
顧客データ登録・管理/ユーザ情報の確認・不備分仕分け/顧客の決済手段確認・登録(クレジット与信処理)/取引・発送/請求書発行・発送/集金/入金確認・売上処理/消込作業/入金督促/ 決済手段の準備と提供先との契約/専用決済環境の準備・構築 など 

これほど多岐にわたる業務がある中で、取引量が増えていけば、「時間がいくらあっても足りない…」といった事態になってしまうことは想像に難くないでしょう。
しかし、トレンドやニーズに合わせた決済を提供することは、顧客の購買体験価値をグンと高めることや、企業の成長につながるため、その対応は避けて通ることはできません。それらと引き換えに、高まり続ける負荷を軽減させるために、まず何をすべきか。それは請求業務の効率化に他ならないのです。


決済会社・顧客ごとの「決済対応」の見直しで複数管理から解放

請求業務の効率化で、まず着手すべきなのは、決済会社ごと、顧客ごとになっている「決済対応」の効率化と、「登録・管理業務」の効率化です。これらの業務をデジタルシフトすることで、企業や実務担当者は次のようなメリットが期待できます。

●    異なる決済会社への対応業務が軽減する(一元化も可能)
●    多様な決済手段へ対応できる
●    振込手数料を節約できる
●    他の業務管理システムと連係して効率化レベルを高められる

決済会社ごと、顧客ごとになっている「決済対応」の効率化

請求業務を効率化するためには、大量に処理すべき業務がある「決済対応」の改善にも目を向ける必要があります。

一昔前であれば、ECサイトユーザーは、クレジットカード決済と代金引換決済という2つの決済方法があれば不満を感じない傾向にありましたが、コンビニ決済・キャリア決済・後払い決済・QR決済などの、さまざまな決済手段が登場した昨今は、ユーザーが自分好みの決済方法で商品を購入すること、自分が普段使っている決済方法がないECサイトでは買い物をしないということが、当たり前になっています。「ポイント付与がある決済方法を選ぶ」というユーザーや、「実際に商品を手にして納得してから支払いたい(納得できない場合は返品する)」と後払い決済を選択するユーザーも少なくありません。

これらを受けて、ECサイト側は、若い女性のためにコンビニ決済、高齢者のために代金引換決済といった具合に、購入層によって必要となる決済手段が異なることを理解した上で、自社のサイトに合った、決済手段を複数用意する必要に迫られています。

しかし、決済手段を増やすということは、各クレジットカード会社とのやりとりや、決済機関ごとのシステム整備、売上・キャンセル処理といった手続き・業務が増えるということ。さらに複数の決済代行会社のシステムを導入・利用する労力や管理の煩雑化、手数料の増加といったことも、企業や実務担当者に負担をかけることになるでしょう。
つまり、時代のニーズに合わせて決済手段を増やすのであれば、それに関連して発生する業務も効率化していかなければならないのです。

決済対応の効率化は、IT企業や決済代行会社などが提供している決済サービス(オンライン決済システム)を利用し、決済代行会社を一つにまとめることで実現します。
決済サービス(オンライン決済システム)とは、インターネット上で決済を完結させることができる決済システムのこと。さまざまな決済手段に対応できるだけではなく、サービス提供会社が、各決済会社との契約や決済そのものの代行、システム上で売上金の集計や入金管理の一元管理などが実現する、大量かつ煩雑な決済対応をさまざまな面から効率化してくれるデジタルサービスです。 

hd_0039_2 

最大のメリットは、自社でシステムを運用せずともECで求められるさまざまな決済手段の提供とストレスフリーな決済対応の環境を整えることができる点。サービス提供会社と契約するだけですぐに利用できるものも多く、決済サービスのプランによっては、導入費や固定費は不要で1回ごとの手数料のみで運用できるものや、代金未回収リスクの保証付きというものもあるなど、自社の方針に沿った運用を採用できる点も魅力と言えるでしょう。サービス提供会社の高いセキュリティ環境を利用できるため個人情報などのセンシティブな情報も安心して取り扱うことができたりする点もポジティブな特徴です。

また、サービス提供会社によっては「最短5日で入金」など入金サイクルが早いことや、決済サービスを1社にまとめれば、入金タイミングを一括化できることも大きな特徴の一つ。例えば、これまで「月末締め翌月15日の入金」というサイクルで決済が行われていたとして、決済サービスの導入で「最短5日の入金」となれば、入金までの期間を最大1ヶ月以上も縮められることになるため、キャッシュフローが改善し、攻めのビジネスも可能になるでしょう。さらに、入金タイミングが一括になることで、決済会社の振込ごとに発生する、処理時間の短縮や振込手数料の節約が実現します。

決済システムやサービスを利用する際は、自社の望むタイミングや方法で支払いが可能なものか、現在自社で使用しているカートと連係できるものかという点をチェックするとよいでしょう。連係可能なものであれば、大きな仕様変更をせずにスムーズに導入することができます。

「登録・管理業務」の効率化

受注のたびに対応が発生する請求業務において、最も負荷が高い業務の一つと言えるのが、決済手段や入金ステイタスといった関連情報の登録や管理、データの照合といった業務です。これらをアナログ作業や別ツール・別システム管理で行っていると、どうしても非生産的な作業になってしまうため、クラウド型のデジタルサービスなどの力で効率化や省力化していく必要があります。

クラウド型のデジタルサービスには、入金・顧客・請求に関するデータを一元管理できるものも少なくありません。一元管理できるサービスを利用すれば、一つのシステムで大量のデータ処理や照合作業の簡略化が可能になり、入金の消込作業にかかる負担を軽減できるほか、各データが紐づけられた状態の最新ステイタスを一覧確認しスムーズに代金未回収者への督促につなげることが可能になるなど、これまで請求業務において大きな負担となっていた業務の生産性を大きく向上させることができます。
さらに過去の購入履歴が紐づけられた顧客データを活用して、購入意欲の高いタイミングに最適な商品のDMを送付するといった販促につなげることができるなど、業務の効率化以上のメリットがある点も魅力の一つと言えるでしょう。


請求業務のデジタル化は受注管理や出荷業務のデジタル化と合わせて考える

請求業務をデジタルサービスで効率化させる際は、他のバックオフィス業務とまとめて一元管理できるようなシステムやサービスを導入すると、物流プロセス全体を通じたバックオフィス業務の効率化が期待できます。

hd_0039_3 

その中でもオススメなのが、「受注・顧客管理×請求(決済)×出荷(配送)」をシステム連係させた一元管理です。受注~請求(決済)〜出荷(配送)を一気通貫で管理することで、複数システムで複数回、異なる操作方法で行っていた作業が、一つのシステム一つの操作方法に統一され、異なる操作方法の習得や運用の作業の煩わしさといったものがなくなり、作業工数・時間、それにかかる人件費を一気に削減することが可能に。さらに、各データが紐付けられることで、顧客と出荷・入金情報を照らし合わせた上で配送業務ができるようになったり、一つのデータで送り状・見積書・納品書・請求書・領収書などを発行できたりと、さまざまなメリットが期待でき、情報管理や関連業務がグンと効率化されます。

請求業務と他のバックオフィス業務とまとめて一元管理する際のポイントは、「配送と決済方法を一緒に考える」ことです。

その理由は、決済は大きく、配送前(クレジットカード決済)、配送時(代金引換決済)、配送後(後払い決済)に分かれ、注文者への納品を起点に行われているため。配送と決済が別システムであると、スムーズな管理や次の業務への移行ができなくなってしまうのです。
実際にECサイトを運用する際に、「決済と配送を別の企業と契約してしまい、管理システムが別々でデータ連係もしていない状態となり、請求業務〜配送業務に必要以上に時間がかかってしまい業務に支障が出ている」というケースは少なくありません。
請求業務と他のバックオフィス業務とまとめて一元管理する際は、「請求業務、請求情報を管理する上で、配送と決済は切り離すことができない関係性にある」ということを念頭に、商品管理・請求(決済)・出荷(配送)を一つのIDで管理できるシステムを選ぶようにしましょう。

デジタルサービス連係による、複数の物流プロセスが関連するバックオフィス業務の効率化は、プロセスごとの効率化以上の効果を発揮してくれるものです。デジタルサービスの利用がまだという場合は、各プロセスとの連係を意識してサービスを選んでみましょう。その際には、プロセスごとにサービスを探していくよりも、現在利用しているECサイト(カート)を起点に連係可能なサービスを探していくとスムーズです。


請求業務のデジタル化は、どのくらい業務効率化や課題解決につながる?

決済業務のデジタル化による具体的な例イメージを掴みたいという方は、次の例をチェックしてください。A社とB社は、ともに決済サービスの導入を行い、決済業務の課題解決や業務効率化を実現した企業です。


A社の場合(小規模事業者)※編集部調べ
【Before】
生花や手芸用品を扱うBtoCのECショップを運営。決済代行会社を使わず、自社のリソースで決済対応をしていたが、未支払いの顧客に対して自分たちで催促・回収を行わなければならないことで、想像以上の時間や手間がかかってしまっていた。中には支払いをしてもらえないこともあり、経営に影響が出てしまうことも。

【After】
課題解決のために、配送の契約を結んでいた物流会社の決済サービスの利用を決意。ECユーザーのニーズを意識して、「後払い決済サービス」を導入した。催促・回収といった時間と手間がかかっていた業務を代行会社に一任できたことで、本業に集中できるようになり業績も向上。代金未回収リスク保証型のサービスであったことで、これまでネックの一つだったキャッシュフローの課題が解消され、明瞭な経営計画を立てられるようになった。

B社の場合(中規模企業事業者)※編集部調べ
【Before】
オフィス用品や日用品を扱う複数のECサイトを運営。決済方法は、クレジットカード決済、代金引換決済、後払い決済の3種類に対応していたが、与信で「保留」が出てしまった際に、顧客に正確な納期を伝えられないことや、入金チェック、売上の整合チェックといった経理業務が増えてしまったことによる、作業効率の低下が課題となっていた。また、顧客から「決済方法を増やして欲しい」という要望が多く、どこの決済代行会社のサービスを利用するべきかも頭を悩ませていた。

【After】
配送のサポートを受けていた物流会社が、「リアルタイムで与信を実施する決済サービス」を提供していることを知り導入。与信がスムーズに進むことになり納期問題は解消。実務的な課題となっていた経理業務も、決済代行会社側で決済情報を一括管理できるようになり効率化が実現したほか、決済代行会社からの入金サイクルが早くなったことで、キャッシュフローが大幅改善され、攻めの営業を行えるようになった。 その後、ユーザーニーズに対応するため、同じ物流会社のクレジットカード決済、後払い決済、ID決済サービスを次々と導入。決済手段は倍以上になったが、同一システムで全て管理できているため、従来よりも作業時間が半減する結果となった。

EC需要の拡大や決済手段の多様化によって高まっているEC事業者や実務担当者の業務負荷を軽減することは、企業を存続させていくためにも不可欠なことと言えます。その手段として最適なのが、デジタル化やデジタルサービスの利用です。まずはデジタルで決済業務の効率化に着手し、同一のシステムで一元管理できる業務をどんどん一元管理していくことを進めていきましょう。サービス同士の連係によって、一元化がすすめば、業務効率化のパフォーマンスは一気に上がっていきます。

発見POINT

  • 多様化するニーズへの対応で煩雑化する請求業務の管理は一元化で対応

    多様化する決済方法へのニーズに対応した際に、気をつけなければならないのが、請求業務の管理方法。何もしないままでは、大量化・煩雑化していき、業務が追いつかなくなってしまいます。そのような問題を防ぐためには、IT企業や決済代行会社などが提供している決済サービス(オンライン決済システム)の利用と、サービス提供会社の1本化で、業務負荷の軽減していく必要があります。サービス提供会社をまとめることで、面倒な各決済会社とのやりとりを一気に圧縮できるほか、システム上で売上金の集計や入金管理の一元管理が可能に。決済会社の振込ごとに発生する処理時間の短縮や振込手数料の節約、入金サイクルの速さや入金タイミングを一括にまとめられることによるキャッシュフローの改善も期待でき、攻めのビジネスに打って出られるようになります。

  • 全体の業務を可視化して、それらの業務をつなぐ仕組みをつくる

    請求業務をデジタルサービスで効率化させる際に、他のバックオフィス業務とまとめて一元管理できる環境を整えれば、物流プロセス全体を通じたバックオフィス業務の効率化につながります。ポイントは、全体の業務を可視化して、それらの業務をつなぐ仕組みをつくること。例えば、決済が注文者の納品を起点に行われていることに注目し、受注・商品管理、請求(決済)、出荷(配送)を一つのIDで管理できるシステムを選ぶと、受注情報・決済・配送の一元管理が可能に。各プロセスの情報の紐付けが実現し、業務効率化と複数ツールの使用によってかかっていた手間が削減されます。

あわせて読みたい

簡単な手続きで一括導入・一括精算処理ができ、業務効率を向上

決済簡単な手続きで一括導入・一括精算処理ができ、業務効率を向上

クレジットカード決済や代金引換、後払い、ID決済など簡単な手続きで一括導入・一括精算処理ができ、業務効率を向上します。

月あたり330円で運用可能な、ネットショップ開業オールインワンサービス

らくうるカート月あたり330円で運用可能な、ネットショップ開業オールインワンサービス

ネットショップの開業から運用まで、必要な機能をオールインワンでご提供するサービスです。 必要な機能はまとめて導入、管理できるので、ネットショップを初めて開業される方も、簡単に運用することができます。

おすすめ記事

キーワード

S N S

↑