いつ起こるか分からない「リコール」。まずは知識の備えから始めよう。

いつ起こるか分からない「リコール」。まずは知識の備えから始めよう。

2021.08.31

テレビやネットニュースなどでたびたび耳にする「リコール・自主回収」という言葉。
製品事故の大小はありますが、2021年6月には140件を超えるリコールが実施されています。
さらに2021年6月1日からは、食品等のリコールを行った場合、リコール情報を行政へ届出することが義務化され、消費者に公表されるようになりました。これにより、一層リコール対応の重要性が高まっています。
いつ何時発生するか分からないリコールとその回収業務ですが、具体的にどのような製品事故があるのでしょうか?具体的な事例を交えてご紹介します。

リコール・自主回収とは?どんな業界で発生しているのか。

「リコール(自主回収)」とは、製品に欠陥があると判明した場合に法令の規定、もしくは製造業者等が自らの判断で無償修理・交換・返金・回収などの措置を行うことをいいます。
リコールの実施者は製造事業者だけでなく、輸入事業者、販売事業者、流通事業者、修理事業者、設置事業者等も含み、あらゆる事業者がリコールを実施する可能性があります。
具体的にはどのような事業者で製品事故が起きているのでしょうか。主なリコール事例をいくつか紹介します。
 

①食品メーカー
フリーズドライ製品等を製造している事業者にて、乾燥剤の一部が商品に混入している可能性があることが判明した。回収対象商品は4万本以上にのぼった。
回収に着手した日にメーカー及び当該商品を扱っていた流通事業者のホームページ上に回収情報を掲載、翌日には全国紙5紙の朝刊に回収情報を掲載した。
回収は消費者からの着払いにて行い、該当者には製品代金相当のクオカードを送付する対応を行った。

②家電メーカー
家電等を製造している事業者が製造する電気ストーブにて、製品が発火し、周辺を焼損する火災が発生した。販売期間は約2年半に及び、回収対象台数は13万台以上にのぼった。
回収に着手した日に専用Webページを開設し、販売店への協力要請をすると同時に、メール、DM、電話などでの連絡も行い、回収を行った。
回収は専用フリーダイヤルを用意し、宅配業者が自宅まで回収、修理・点検後返却という流れで行った。


③輸入製品販売事業者
輸入事業者が販売した家電製品で発火事故が4件発生した。当該輸入事業者は廃業状態であり、製品回収が望めない状況にあった。そこで販売事業者3社が協同でチラシを作成し回収の旨を広告した。

このように様々な事業者の商品が自主回収されており、その原因も多岐にわたっています。

リコール回収業務の流れと、回収の遅れがもたらす危険性とは?

では、実際にリコールはどのような流れで行われているのでしょうか。また、リコールの回収業務にはどのようなリスクが潜んでいるのでしょうか?
経済産業省が作成している「消費生活用製品のリコールハンドブック2019」には、以下のような流れをイメージとして示しています。

<リコールの流れ>
リコール

出典: 経済産業省「消費生活用製品のリコールハンドブック2019(全体版)」をもとに作成
(https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/recall_handbook2019_ch3.pdf)

上記はあくまでも一例ですが、リコールの実施には多くの労力を要してしまいます。
リコールにより必要となるのは労力だけではありません。具体的には以下のようなリスクが考えられます。

・回収コストの発生
経済産業省によると「リコール実施に要する費用(例)」として以下の9つが挙げられています。 

リコール

出典:経済産業省「消費生活用製品の リコールハンドブック2016」をもとに作成
(https://www.meti.go.jp/product_safety/recall/handbook2016.pdf)

例えば社告だけでも新聞の地方紙で数十万円~、全国紙で数百万円~、主要5紙への掲載で数千万の費用が発生します。
さらに製品事故等の発見が遅れた場合や回収が遅れた場合、回収対象商品の数が増え、より多くのコストがかかってしまいます。


・企業ブランドの毀損、株価への影響
安心・安全をウリにしているメーカーが、重大な製品事故を起こしてしまった場合、商品の買い控えによる業績の悪化や、株価の急落等が起こり得ます。
特にリコール対応の遅れや、リコール隠し等が発覚した場合、更なる炎上を招いてしまい経営存続に関わる経済的損失になる可能性があります。


・賠償請求のリスク
製品事故等により、消費者の死亡事故や火災等の非常に大きな事件・事故に発展してしまうことも後を絶ちません。
消費者が死亡、または重傷を負った場合、刑事上の責任として「業務上過失致死傷罪」に問われることがあります。
このように製品事故等は時に非常に大きなリスクになることがあります。また製品事故以外にも、リコールを適切に行えなかったこと自体が大きなリスクに繋がる場合があるのです。

ピンチをチャンスに!回収によりお客様の更なる信頼を獲得

リコールは早期かつ適切に行う事で、被害を最小限に抑えることが可能です。また、適切な回収を行う事で消費者に「ここのメーカーは何かあってもしっかりと対処してくれる」とイメージがアップする可能性もあります。そのためには日ごろから製品事故が起こった際のことを想定して事前準備をする、消費者の手間を最小限にすることが必要です。

飲料・食品メーカーA社では返品・回収業務に宅配事業者のアウトソースサービスを利用することで、顧客対応の向上を図っています。
A社では、商品に関するご指摘があった場合、オペレーターが商品の引き取りをお客様にご提案し、伝票と梱包資材を持参してお客様宅にお伺いし、商品を引き取ります。
通常メーカーが行う回収の流れでは、お客様が自身で梱包材を用意し、宅配業者を手配する必要がありますが、アウトソースサービスを導入することで、回収におけるお客様の手間が軽減されるため、利用率は高いようです。
A社では、商品のどこに問題があったのかを調査することを重視している為、回収業務に力を入れています。引き取った商品の調査に結果を元に自社商品の品質を改善していくことが、お客様からの更なる信頼獲得につながるという理念があるのです。
上記のアウトソースサービスは、企業の規模に関わらず利用できるサービスなので、この機会に一度検討してみては如何でしょうか?

また、他にもお客様がQRコードと宅配便ロッカーを活用することで非対面での回収を可能にするサービスもあるので、こういったサービスをうまく活用することで、リコールを効率化し、消費者のイメージアップに繋げることも可能です。
リコールは何より早期対応が鍵を握ります。事故が発生する前に準備をしっかりと行い、リコールに備えておきましょう。





発見POINT

  • リコール対策は、対応フローとコストの把握から。

    いつ発生する分からないリコール。何から準備すれば…とお悩みなら、まずはリコール発生の対応の流れと、回収に必要なさまざまなコストを知ることから始めましょう。初動でモタつかないためにも、日頃から知識の備えが必要です。

  • 早急な対応で、ピンチをチャンスに変える。

    リコール≒悪ととらえがちですが、スピーディかつ丁寧な対応を徹底することで、「このメーカーは何かあっても安心だ」と信頼感アップにつながることも。今から備えておくことは、未来のチャンスにもつながるはずです。

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