変わらぬ被災地への想い・・・「結の場」を通じた被災地域企業支援をレポート

変わらぬ被災地への想い・・・「結の場」を通じた被災地域企業支援をレポート

2023.07.07

東日本大震災から12年。国内観測史上最大規模の揺れと未曽有の大津波は、人々の命と住み慣れた町、町とともにあったビジネスを一瞬で押し流しました。

帝国データバンクが2022年3月に行った「東日本大震災関連倒産」動向調査によると、2011年3月~2022年2月のあいだに休廃業した被災地域企業は3割を超えました。施設は復旧できても、地域経済の衰退や取引企業の廃業などで今なお販路が戻らず、先行きを見越して休廃業を決める企業数は上昇傾向にあります。また、震災後も事業を継続している企業は約6割ですが、そのうちの3割が「売上は回復していない」と答えており、今なお経営の立て直しは容易ではないようです。

震災直後からヤマト運輸では復興支援を継続しており、支援事業のひとつとして復興庁が主催する、地域復興マッチング「結の場」に参加しています。今回は、2023年2月22日に行われたマッチングの様子をレポートします。



被災地域企業と支援提案企業をつなぐ「結の場」

復興庁が主催する「結の場」は、被災地域企業が抱える経営課題の解決に向けた、ビジネスマッチングの場です。支援提案企業は、自社の利害を超えてノウハウやアイディア、販路などを提供し、被災地域企業の新たな一歩を支援します。 

震災翌年の2012年に石巻市、2013年に気仙沼市で開催された「結の場」では、50件のマッチングプロジェクトが成立。以来、官民連携による継続的な取り組みで、2012年以降で34回の「結の場」を開催し、699件のマッチングが成立しました。

当初は被災地域企業と支援提案企業が一堂に会する形式で開催されていましたが、新型コロナウイルス感染症の拡大以降、オンラインでのワークショップが行われています。 

今回、ヤマト運輸では、株式会社エスエスフーズと株式会社カネモト畠山水産の相談を受け、支援提案を行いました。

 

株式会社エスエスフーズへの提案:一般消費者と飲食店にブランドを活かしたアピール

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フカヒレやアワビ、ナマコなどの加工・販売を行う株式会社エスエスフーズ。日本だけでなく香港、台湾などからの注文も多く、国産原料・国内加工にこだわった高い品質に定評があります。また、多品種のニーズに対応するため、年間を通して安定した商品の供給ができる体制を構築してきました。 

現在は、フカヒレを中心とした食材が全国の中華料理店で利用されているほか、テレビショッピングやカタログ販売、ECモールへの出店、高速道路のパーキングエリアや道の駅での販売を通じて、一般消費者にもアプローチしています。

 

「おうち需要」拡大への対応に課題

 コロナ禍で「おうち需要」が拡大し、「いい物をいい店で」から「いい物を我が家で」という新しい食の楽しみ方が広く浸透しました。

同社でも、従来から使用してきたインターネット上のショッピングモールを中心に一般消費者への販路拡大を試みましたが、効果的なアピールに至らなかったといいます。既存の販路の中心がBtoBであり、BtoCの宣伝方法や販売方法に関する知見が不足していることが課題でした。また、BtoBについても、既存クライアント以外の需要発掘に苦心しているのが現状です。

 

「らくうるカート」での魅力的なネットショップ作りを提案

 同社の課題を受け、ヤマト運輸からは簡単にネットショップを作成できる「らくうるカート」を提案しました。

 

「らくうるカート」活用によるモールからの脱却・自社ネットショップ構築

ECモールには、モール経由の集客を狙えることや、簡単にネットショップに着手できることなどの強みがありますが、自由度が低く、ブランドを活かした商品アピールがしにくいといった課題があります。自社ネットショップなら自由なブランディングが可能で、こだわりを存分に詰め込むことができますが、Webサイト制作の知識がないとサイトの構築・運用のハードルが高いものです。同社もそれを負担に感じたため、課題を感じつつもECモール経由での販売を継続していました。

そこで、一般消費者への販路拡大のために、クロネコヤマトのネットショップ開業サービス「らくうるカート」を紹介。「らくうるカート」は、Webサイト制作の知識がなくても簡単にネットショップが構築でき、スマートフォンからスピーディに商品ページを作成できるサービスです。定番商品に加え、新商品やコラボ商品を最適なタイミングで販売することで、一般消費者の認知拡大と継続購入につなげることを提案しました。
 クロネコヤマトのネットショップ開業サービス「らくうるカート」

 

発送課題を含め、チームで支援を実行

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「結の場」から数日後、宮城県のヤマト運輸のチームが株式会社エスエスフーズを訪問。「らくうるカート」について、より具体的な提案を行いました。同社の商品は冷蔵・冷凍が多く、管理の都合上、なかなか物流コストを下げられないという課題もありますが、それについては「クールBOXチャーター便」を紹介。今後も同社の課題に寄り添って、ヤマト運輸のソリューションを提案していく予定です。

 

【会社概要】
株式会社エスエスフーズ
宮城県塩釜市新浜町3-27-25
TEL:022-253-7968



株式会社カネモト畠山水産への提案:Web上の顧客の接点を増やして売上拡大を目指す

海鮮吟醸詰め合せ.JPG株式会社カネモト畠山水産の創業は1948年。当時から、学校給食および病院給食用に無添加の魚介類加工品の製造・販売を手がけてきました。

給食食材の製造ノウハウを活かし、一般消費者への商品提供も開始。ASPカートシステムで構築したネットショップ「海鮮味工房 吟醸屋」を通じて、西京味噌漬・吟醸酒粕漬を販売しています。また、震災時には社屋などへの直接的な被害が少なかったことから、同業他社の依頼を受けてOEM供給も広く行ってきました。

 

課題はネットショップの売上の伸び悩みとリピーターの獲得

 同社は、要望に応じた調理法やレシピに合わせて商品づくりをするきめ細やかなサービスで、各種学校・病院・福祉施設などから信頼を得てきました。長年、実際に顧客に会って関係性を構築してきたため、目に見えないWeb上の顧客のニーズや動向をつかみにくく、つながりの構築に悩んでいたといいます。

 

SNSとECへの注力、およびチラシ同梱によるリピーター獲得を提案

 ヤマト運輸からは、「らくうるカート」を利用したより魅力的なネットショップづくりとSNSの活用による販路開拓施策などをご提案しました。

 

・「らくうるカート」でのより魅力的なECサイトづくりとSNSの活用

現在のネットショップはASPカートシステムで作られているため、デザインが限定的で、システム連動性が低いのが課題です。そこで、ユーザーニーズに合わせた作り込みが可能な「らくうるカート」への移行を提案。スマートフォンでも初期コストを抑えて視認性の高いWebサイトが作れること、受注・決済・配送がオールインワンで管理が楽になることを案内しました。

併せて、SNSを頻繁に更新し、一般消費者とのタッチポイントを増やしてサイト流入につなげることも提案しています。 

クロネコヤマトのネットショップ開業サービス「らくうるカート」

 

・定期購入機能によるリピーター獲得

リピーター獲得については、会員になることで毎回異なるセット商品をお楽しみいただける販売方法「頒布会」の展開を提案。ネットショップの決済サービス「クロネコwebコレクト」のオプション機能で、頒布会販売機能が利用できます。 

決済サービス「クロネコwebコレクト オプション機能」

 

直接訪問し、より詳細な支援計画を立案・実行

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後日、ヤマト運輸の担当チームが訪問し、ギフト商品に特化してきたため「普段使い」商品としての売り出しが難しいといった課題を詳細にヒアリングしました。同社には「ギフトとして商品を受け取った人のリピート購入が多い」という強みがあり、一般消費者に認知されることで販路拡大の余地が大きくあります。SNSでのPRのほか、個人での購入を促す頒布会の利用や、チラシの同梱による購入導線の案内などを提案し、ヤマト運輸として具体的にどのような支援ができるか話し合っています。

 

 

【会社概要】
株式会社カネモト畠山水産
宮城県気仙沼市松川296
TEL:0226-22-2669

発見POINT

  • 自社の経営資源を活かした復興支援を継続

    被災地では復旧に向けた取り組みはまだ道半ば。被災地域企業は施設が復旧しても事業が軌道に乗りきったとは言えないところもあり、さらなる支援を必要としています。被災地域企業だけでは解決できない課題もあり、そういった部分に経営資源を活かして関わっていくことが、復興支援につながるでしょう。 ヤマト運輸では今後も変わらず、被災地および被災地域企業に向けた支援を継続してまいります。

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