「LINE」ユーザーとも直接やりとりできる唯一のビジネスチャット「LINE WORKS」を運営。日本のどこにいても活用できる、特にITを利用しにくい現場でも「仕事用なのに使いやすい」「ITが苦手な方も使える」サービスを提供している。47都道府県で働くすべての人に「仕事のスピードの向上」「生産性の向上」「仕事仲間との一体感の向上」を提案し、働くことが楽しい会社作り+会社の成長を促すことをミッションとしている。
近年はDX(デジタルトランスフォーメーション)ツールについて、業務の自動化を図り、生産性を上げるためには欠かせないものとして、積極的に活用する企業が増えています。DXツールはトレンドになりつつあり、数多くのDXツールが存在していますが、一体どのような視点で選べば良いのでしょうか。
今回は、ビジネスチャットサービス「LINE WORKS」を運営し、2022年5月よりヤマト運輸と「LINE WORKSで宅急便」を開始した、ワークスモバイルジャパン株式会社 事業企画本部 サービス企画 部長の佐久間 佳史さんにお話を伺いました。
DXツールは「管理者」「現場」の双方のメリットで選ぶ
現在DXツールは多様化し、さまざまなサービスが誕生しています。一方で、自社の状況に合った、適切なDXツールを選択することが難しくなり、多くの企業にとって悩みの種にもなっているといえます。ワークスモバイルジャパン株式会社の佐久間さんは、「DXツールを導入する際は、会社の誰もが使いこなせるツールであることが大事」と語ります。
「現場の中には、ITが苦手なスタッフもいるでしょう。しかし、どんな方でも使いこなせる『使いやすさ』でないと、結局、社内には浸透しなくなってしまうのです。さらに付け加えるなら、現場と管理者、どちらにもメリットのあるものを選択するのが賢い選択といえます」
現場では「業務の効率化」が課題となっています。特に、時間のかかる荷物の発送やその精算などの業務に頭を悩ませている現実がある、と佐久間さんはいいます。
「現場の担当者は日々、目の前にあるメイン業務に追われています。そのため、なかなかそのほかの業務に時間を割けないという課題があります。場合によってはそれらの業務を全部後回しにして、月末に何とか時間を作って行っているような状態です。これでは効率が悪く、何かと失念してしまうケースも考えられます」
また、そうした状況は会社の総務・経理など、管理側にも、多くの課題があります。
「管理側はもちろん、現場の方に早く・正確に荷物や書類の発送を行ってほしいですし、発送した荷物の運賃精算も効率化したいと望んでいるはずです」
そのような現状にDXツールを投入した場合、管理者や現場担当者にはそれぞれ大きなメリットが出てくると佐久間さんは語ります。
「現場担当者は荷物の運賃精算業務がなくなるだけで、本来注力したいメイン業務に時間を割くことができ、残業時間を減らせる可能性が出てきます。管理者は、精算業務の効率化を実現することで、現場から喜ばれ、自分たちの業務もかなり楽になります。精算業務に時間を取られなくなるのは、双方にとってメリットしかないのです」
しかし、注意しておきたいことがあります。DXツールは各分野で類似ツールも多く出てきているため、選ぶ側はどれを選べばいいのかわからなくなってしまうことです。
「一般的に、DXツールを比較検討した場合、多くの機能があるツールが選ばれがちです。しかし、実はここに落とし穴があるんです。機能の充実を求めるほどに利用難易度が高くなり、結果として現場に浸透しない、という問題も起きています」
例えば、「LINE WORKS」では、コミュニケーションアプリ「LINE」のような使いやすさを保ちながら、ビジネスで活用できる機能が備えられているという点が特長になっています。チャットやスタンプはもちろん、掲示板、カレンダー、アドレス帳、アンケート、グループウェア機能やデータ管理機能も揃っていて、コミュニケーションの促進や効率的なチーム運営を行うことができます。
そして最大のメリットは、優れた機能を多く搭載しているにも関わらず、「利用者に特別な研修や指導が必要なく、導入したその日から誰でもすぐに使える」というところです。
現場の負荷が激減、スマホ一つで荷物の発送時の現場の経費精算が不要
2022年5月12日、ヤマト運輸と協業で「LINE WORKSで宅急便」がスタートしました。これは、宅急便運賃の精算も、送り状の手書きも不要。近くのコンビニなどから簡単に発送でき、 「現場の業務の効率化を簡単に実現できる」という新しいサービスです。その誕生の背景を佐久間さんに詳しく聞いてみました。
「2020年より、新型コロナウイルス感染症拡大を契機としたテレワークが急速に普及しました。在宅勤務やシェアオフィス、サテライト拠点の活用など、多様な場所での働き方が定着してきています。それに伴って、オフィス以外の場所から業務で必要な荷物を発送する機会も激増したんです」
さらに現場によっては、業務上で宅急便を発送する際「送り状が手元にない」や「経費の立て替えが必要」といった状況が生じ、業務の効率化や発送時の利便性向上が課題にあがっていました。こういった現場の声をいち早く取り上げたのが今回の新サービスです。
ワークスモバイルジャパンとヤマト運輸は、これらの課題を解決すべく、『LINE WORKS』上に、宅急便の発送手続きができる新機能を追加しました。そして、2022年3月から実証実験を開始、同年5月から本格的にスタートしたのです。
では、実際に「LINE WORKSで宅急便」の仕組みはどのようなものなのでしょうか。
「本機能は、LINE WORKSのアプリから、『自宅や店舗、出張先、シェアオフィスなど、あらゆる場所から、簡単に宅急便の発送手続きができる』サービスです。LINE WORKSのチャット上で送付先や住所など送り状情報を入力すると専用QRコードが発行されます。専用QRコードをお荷物と一緒に近くのコンビニやヤマト運輸の営業所などに持ち込むだけで、簡単に荷物を発送することができるのです」
LINE WORKSのメニュー画面から「宅急便を送る」を選択
発送時は画面の案内に合わせてトーク画面から送り先情報を入力、もしくは履歴から選択することで、送り状の専用QRコードを作成
「もちろん、手書きで送り状を用意する必要はありません」と佐久間さん。
宅急便の運賃は、発送手続きの際に自動で計上され、LINE WORKSの利用料金と合算して、会社に請求されます。ですので、宅急便の運賃を個人で立て替えなくても荷物を発送することができるのです。
「また通常は、集荷時間に自身のスケジュールを合わせて荷物を発送しなくてはならず、外出したくてもできないといったことがあります。そんなときに『LINE WORKSで宅急便』を活用すれば、自身のスケジュールに合わせてコンビニやヤマト運輸の営業所に荷物を持ち込んでの発送が可能となり、利便性の向上にもつながっていくでしょう」
「LINE WORKSで宅急便」は、現在利用中のヤマト運輸以外の配送サービスと併用した場合も、業務の効率化につながるそうです。
「お客さまの中には、現在ご利用中の配送サービスがあると思います。しかし本社にしか定期集荷が来ないといった不便な点があることも多いです。その場合には、『第二の配送手段』として、小回りの効く『LINE WORKSで宅急便』を使っていただくことをおすすめします」
また佐久間さんによると、今後「集荷依頼機能」もリリースを予定しているといいます。
「定期集荷は必要ないけれど、荷物を出したいときに集荷依頼をしたい、そんな人に『LINE WORKSで宅急便』を使ってほしいと考えています」
業態別「LINE WORKSで宅急便」の利用者の声
最後に「『LINE WORKSで宅急便』を使ってよかった」という利用者の声が届いているとのことで、佐久間さんに詳細をお聞きました。
内容は以下です。
①導入前の課題 ②主な活用シーン/導入による成果・得られたメリット
首都圏で飲食フランチャイズ店舗を複数運営しているA社の場合
①導入前の課題
各店舗は月に2回、本社へ書類を発送するオペレーションがありました。全店舗あわせて毎月150件ほどの書類を本社へ発送しており、各店舗スタッフの業務が増え、見直しが必要でした。
②主な活用シーン/導入による成果、得られたメリット
書類を発送する前に、事前に送り状をQRコードで作成しました。履歴機能を使って、送り状に記載する情報を呼び出すことができるので、2回目以降は、送り状作成も最低限の操作で行えるようになりました。運賃の支払いの手間もなくなり、業務を軽減することができて、本当にありがたく思っています。また、本社も立て替えた宅急便運賃を精算する手間を省くことができ、とてもよかったです。
電気工事事業者 B社の場合
①導入前の課題
弊社は電話やインターネット回線などの電気工事事業者で、全国に営業所を持っています。少人数の営業所では、不在になることも多くあるのですが、集荷時間にスケジュールを合わせなくてはならず、現場へ出たくても出られない待機時間が発生。かなり非効率的になっていました。
②主な活用シーン/③導入による成果、得られたメリット
「LINE WORKSで宅急便」を活用することで、都合のいいタイミングでコンビニやヤマト運輸の営業所へ荷物の持ち込みが可能となり、効率化につながりました。送り状もスマートフォンからの入力で完結するので、本当に便利だと思います。また、集荷時間を過ぎた後、急を要する荷物の発送があった場合、荷物を持ち込んで発送できることも助かっています。現場のニーズにも応えることができるようになり、業務の効率化を進めることができました。
そのほかにも多くの企業で導入が進んでいる「LINE WORKSで宅急便」。実はサービスを提供しているワークスモバイルジャパンでも活用されています。テレワークを積極的に推進している同社では、自宅やイベント業務での現地からの荷物の発送など、さまざまな場面で利用されています。
DXは日本のビジネスの重要な課題です。DXツールを導入する際は、現場の業務をどのように効率化したいか、明確にして選定する必要があります。
「LINE WORKSで宅急便」のように、難しい操作がなく、誰もが使うことができるのは重要なポイントといえるでしょう。今後、企業でDXツールを検討するなら「誰でも使えるシンプルさ」や「現場・管理者の双方のメリット」は大きな判断基準になります。