機密文書の正しい分類と廃棄方法とは?他人事ではない情報漏洩防止のために今やるべき対策をご紹介

機密文書の正しい分類と廃棄方法とは?他人事ではない情報漏洩防止のために今やるべき対策をご紹介

2022.06.16

年に数度は大きな話題になる行政や大企業による機密文書の漏洩。ひと度重要な情報が流出すると、社会的な信用を失い、多額の損害賠償を背負うばかりか、最悪の場合、プロジェクト全体、あるいは組織そのものが存続不能になる危険性もあります。


昨今の情報漏洩というとデジタルデータの流出と思いがちですが、2018年の調査では、徐々に割合が低下しているとはいえ、紙媒体の流出が全体の約3割を占めるなど、文書は主要な流出経路の1つです。hd_0068_1

2018年情報セキュリティインシデントに関する調査結果~個人情報漏えい編~(NPO日本ネットワークセキュリティ協会)


特に、現在はリモートワークなどの新しい働き方が浸透している過渡期であり、デジタルデータの扱いには決まりがあっても機密文書を扱うルールは整備が不十分であることが多く、漏洩に対する意識が薄くなりがちで、どこか他人事だと思っていませんか? 下記項目のなかで、当てはまるものにチェックをしてみてください。

☑︎ 業務で事業計画書類や決算書類を扱うことがある
☑︎ 業務で契約書や顧客名簿を扱うことがある
☑︎ 業務で社員名簿や履歴書を扱うことがある
☑︎ 打ち合わせで会議室を使うことがある
☑︎ コピー機でコピーを取ることがある
☑︎ 自宅で業務を行うことも珍しくない

誰でも当てはまりそうな項目ですが、ひとつでもチェックがあった人は、機密文書を漏洩させる可能性があります。今回は機密文書の定義や分類、漏洩のリスクや基本的な対策など、ビジネスパーソンなら必須の“機密文書の基礎知識”を紹介しますので、今一度、確認しておきましょう。

基礎知識1:機密文書は重要度によって極秘・秘・社外秘の3つに分けられる

 

一般的に「重要な情報が記載され、社内外へ秘密にする必要のある文書」を意味する機密文書。具体的には「企業や団体内の秘密を記した文書」「取引先から取得した文書」「個人情報を記載した文書」などが当てはまり、重要度によって「極秘」「秘」「社外秘」の3つに分類されます。

【機密文書の具体例】
■企業や団体内の秘密を記した文書
例:事業計画書類、決算書類、顧客台帳、M&A計画書、企画書、仕様書、設計図など

■取引先から取得した文書
例:契約書、顧客名簿、共同研究書、取引先製品の仕様書・設計図、未発表のサービス情報など

■個人情報を記載した文書
例:マイナンバーが記載された書類、社員名簿、履歴書、アンケート回答用紙、申込書など

【重要度による分類】
■極秘
漏洩するとプロジェクトや企業経営に大きな影響をあたえる、最高レベルの重要度がある文書。経営陣などごく限られた人のみが閲覧可能とされます。

■秘
「極秘」に次いで重要度が高く、特定の部署やプロジェクトメンバー以外に漏れると事業への影響がある文書。社内でも関係者のみが閲覧可能とされます。

■社外秘
社外に漏れると不利益になることが想定され、社内のみで共有できる文書。基本的に正社員のみが閲覧可能とされます。

基礎知識2:機密文書に法律的な定義はないが、「営業秘密」が近しい法令

 

実は、機密文書には法律的に明確な定義はありませんが、関連する法令が“不正競争防止法”によって定められた「営業秘密」です。

“不正競争防止法”は、事業者の公正な競争を促すために、商品の模倣などの不正を禁止する法律です。そのなかで「営業秘密」は、“秘密として管理されている生産方法、販売方法その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報であって、公然と知られていないもの(第2条6項)”と定義されています。文面は少々難解ですが、要するに、①秘密として管理され(秘密管理性)、②有用な技術上又は営業上の情報で(有効性)、③公然と知られていないもの(非公知性)という3つの条件を満たすのが「営業秘密」となり、法的な保護を受けられるということです。

【営業秘密の3つの条件】
①秘密管理性
組織が「営業秘密」とみなした情報に関して、“秘密として管理している”ことを従業員や取引先などに明確に示していること。

②有効性
「営業秘密」とする情報を事業に利用することで、経費の節約や経営効率の改善などに有効であること。

③非公知性
「営業秘密」が一般的には知られていない状態で、組織内でしか入手できない情報であること。

つまり、機密文書は「営業秘密」と認められるように管理することが理想です。しかし、すべての機密文書を「営業秘密」にすると、管理のコストや手間が膨大になり、活用するうえでも不便になります。ですから、組織にとっての「情報の経済的価値」や「情報漏洩が起きた場合の損失」「取引先にあたえる影響」「競合他社にとっての有用性」などを評価したうえで、先ほど紹介した極秘・秘・社外秘という重要度のレベルに合わせた管理・運用が求められるのです。

基礎知識3:漏洩は「社会的信用の低下」や「経済的な損失」など重大な問題に

 

ちょっとした手違いやミスによる機密文書の漏洩であっても、想像以上に大きな問題になります。代表的なリスクとして「社会的信用・企業イメージの低下」「経済的な損失」「競争力の低下」があるでしょう。

■社会的信用・企業イメージの低下
社会的信用の低下は、取引停止や営業機会の損失、上場企業であれば株価の下落などを引き起こします。また、漏洩したことが広まると問い合わせや苦情、SNSでの書き込みに対しての対応が必要になり、業務効率が下降するケースも少なくありません。さらに、企業イメージが悪化すると、従業員のモチベーションにも大きな影響があるようです。

■経済的な損失
刑事罰の罰金のほか、個人情報を記した機密文書の場合、民事上の損害賠償責任が発生します。金額は文書の内容や流出の規模によって異なりますが、1,000万円を超えたケースもあるようです。また、原因の調査費用や改善の費用、クレーム処理の人件費など、対応には莫大な費用が必要になります。

■競争力の低下
長年の企業努力によって磨いてきた独自の技術やノウハウ、新しい事業のアイデア、顧客リストなどの流出は市場での競争力の激減に直結し、業績の急激な悪化は避けられません。「重要な情報なら漏洩しにくいのでは」と思うかもしれませんが、ここ数年で何度も、元社員などによって機密文書が持ち出され、競合他社へ流出する事態は実際に発生しています。

このように機密文書の漏洩は、「社会的信用・企業イメージの低下」「経済的な損失」「競争力の低下」を引き起こし、最悪の場合、組織の存続が困難になる危険性もあります。また、一度漏洩が起こると、完璧に“文書の回収”や“内容の取消”をするのはほとんど不可能であり、リカバリーには莫大な費用や手間、時間がかかります。そうならないためには、事前に対策しておくことが重要でしょう。

基礎知識4:漏洩の主な原因は“ヒューマンエラー”と“不正”

 

機密文書が漏洩するもっとも大きな原因の1つは、キャビネットや会議室、コピー機へ放置、回収ボックスがいっぱいで入らないなど廃棄環境の不備といった“ヒューマンエラー”です。こうしたヒューマンエラーは、0にするのは難しいものの、対策をすれば減少させることが可能です。

もう1つの大きな原因は、実は “不正”。個人情報の流出はニュースになる一方、例えば契約書などの漏洩は、関係者間で協議するため表面化しにくく耳に入ることは少ないですが、我々が考えるよりも文書の不正な持ち出しや盗難は多く発生しています。また、文書の廃棄を専門業者に依頼をしても、格安で対応する業者のなかには悪徳業者も存在するため、注意が必要でしょう。

基礎知識5:漏洩防止のポイントはデータ化と廃棄ルールの見直し、そして意識改革

 

デジタル化が進み、多様なワークスタイルが広がっている現在、機密文書の漏洩を防ぐ基本的な対策は、「データ化して一元管理」すること。文書とデータの両方が存在すると管理が煩雑になり、特に繁忙期などには漏洩の可能性が高まります。可能な限り文書をデータ化することで管理をシンプルにすることができ、もちろん、紙媒体の紛失や放置なども防げるのです。

とはいえ、なかにはどうしても文書として残さなければならないものもあります。その場合、決まった場所で働くのが当たり前だった時代のルールから、組織のワークスタイルに合わせて、適切な手段で廃棄できるように廃棄ルールの見直しをすることが重要です。文書を廃棄する手段としては、大きく分けて「鍵付き回収箱で収集し、業者が廃棄」「段ボールの回収ボックスで収集し、業者がそのまま溶解」「シュレッダーで細断」などがあり、それぞれにメリットとデメリットがあります。

■鍵付き回収箱で収集し、業者が廃棄
メリット:業者が回収してくれるので手間が少ない。業者によっては、廃棄されるまでの経路を把握することも可能。
デメリット:誤って回収箱に投棄してしまうと取り出すのが難しく、また、ある程度のコストがかかる。
 
■段ボールの回収ボックスで収集し、業者がそのまま溶解
メリット:封を開けずにそのまま溶解させるので安全性が高く、業者が回収してくれるので手間も少ない。業者によっては、廃棄されるまでの経路を把握することも可能。
デメリット:業者が回収に来るまでは、ボックスに投棄した文書を取り出せてしまう。
 
■シュレッダーで細断する
メリット:社内に設置すれば、従業員自身で手軽に廃棄ができる。
デメリット:廃棄を大量に行うのは時間がかかり、ホチキスを外すなどの手間がかかる。再現も不可能ではない。

これらの廃棄の手段を組み合わせ、例えば、企業内では極秘・秘の文書は回収箱へ入れ、社外秘の文書はシュレッダーにかける、自宅業務では極秘・秘の文書は印刷禁止、社外秘を含めた全ての文書は、回収ボックスへ投棄、といったように機密文書のレベルに合わせた、明確な廃棄ルールを定めましょう。

同時に、新しい廃棄ルールを徹底するには、従業員の意識改革も必要です。コンプライアンス担当者であっても、機密文書の廃棄には目の前で手軽に細断できるシュレッダーで十分だと考えていることが現在でも少なくありません。しかし、シュレッダーによる細断は復元が不可能ではなく(実際に復元し、漏洩したケースもあります)、自宅にシュレッダーがある人はごく少数でしょう。一方、SNSが発達し、情報漏洩が拡散する可能性や、拡散の速度は上昇し、危険性は飛躍的に増しています。こうした廃棄の技術的な問題、現在のワークスタイル、社会的な状況などを踏まえた意識改革を行わなければ、廃棄ルールを徹底するのは難しいのです。


機密文書に記載された情報は、他社と差別化をはかり、競争力を高めるのに欠かせない重要な情報資産です。変化の激しい市場のなかで、情報資産を十分に活用し、組織が継続して成長していくためにも、この機会に機密文書について考えてみましょう。

発見POINT

  • 専門業者に相談し、ワークスタイルに合わせた廃棄ルールの見直しを

    廃棄ルールの見直しを行う際には、廃棄ルールのガイドラインやWebサイトの情報を参考にするでしょう。しかし、現在は組織によってワークスタイルが大きく異なるため、画一的な対策は難しい部分があります。ですから、自分たちに合わせた廃棄ルールの構築には、専門業者に相談してみるのがおすすめです。社会的に名前の通った信頼のできる業者に廃棄をアウトソーシングできれば、業務効率化にもつながります。

  • 社内セミナーなどを開催すれば、迅速な意識改革が可能に

    日常的な業務である廃棄についての意識改革は、文書の掲示や社内ポータルサイトでの周知では、なかなかうまくいかないケースが多いようです。とはいえ、漏洩のリスクに時間は関係ないため、一刻も早い意識改革が必要でしょう。そこで有効なのが社内セミナーです。機密文書の定義から飛躍的に向上している漏洩のリスク、新しい廃棄をまとめてアナウンスすることで、迅速な意識改革が実現するはずです。

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