出荷業務を効率化には、バックオフィスのデジタル化が必須?

出荷業務を効率化には、バックオフィスのデジタル化が必須?

2022.01.24

出荷にまつわるバックヤード業務担当者にとって、 EC市場の拡大や時間・受取方法の指定をはじめとする消費者のニーズの多様化による個別配送対応の増加(多頻度小口配送)への対応は、頭を悩ませていることの一つではないでしょうか。

多頻度小口配送は、得意先や消費者の変えようのないニーズであると同時に、企業にとっては事業を継続していくために対応しなくてはならないことでもあります。しかし、バックヤード業務の実務担当者にとって多頻度小口配送への対応は、出荷指示(発注業務)、ピッキング、検品、送り状・納品書の発行、梱包といった業務の機会が増えてしまうだけではなく、誤発注、送り状をはじめとした出荷関連書類の記入間違い・書き損じといった本来は起こる可能性の低いミスの誘発、頻発につながるリスクも高まるため、業務環境が変わらないままでは、歓迎しづらいものであると言えます。

業務の負担と人為的ミスを削減するためには、いかにして出荷業務を効率化していくのかが重要。その一つの手段として注目を集めているのが「デジタル化」です。
そこで今回は、出荷業務の効率化を手軽に実現できるデジタル化のコツを解説していきます。

バックオフィス業務はデジタル化で効率化を図ることが当たり前になっている

 

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現在、より働きやすい環境の構築やそのための業務効率化を実現するための手段として、多くの企業・個人が業務のデジタル化を進めています。
 
その背景には、経済産業省が2018年に「DX推進ガイドライン」を発表し、DX推進のための経営のあり方やITシステムの構築のガイドラインを示したことや、新型コロナウイルス感染症の流行以降のリモートワークをはじめとしたオフィスに縛られない働き方が浸透してきたことなどがあります。また、さまざまな業務プロセスの効率化を実現する“安くて・早くて・手軽な”デジタルサービスが増加していることも、業務のデジタル化が急速に広まっている要因でしょう。
 
そんな業務のデジタル化の中で、最も手軽に始められ、効果が見えやすいことから多くの企業が最初に着手しているのがバックオフィス業務のデジタル化です。受発注業務や送り状・納品書の発行といった出荷にまつわるバックヤード業務も対象で、その業務の多くがデジタル化することができます。
 
デジタル化を行うべきなのは、“一部でも”アナログな作業が生じている業務。手作業では、時間がかかってしまう、物量が増えることで集中力が切れてヒューマンエラーが生じてしまうといった課題も、デジタル化という手段によって解決することができるため、一部でもアナログな作業が生じて、それが業務の効率を悪化させているのであれば、いち早くデジタル化していくべきだと言えます。

出荷業務のデジタル化は送り状発行業務からはじめるとスムーズ

では、出荷業務の中で何から始めるのが良いのでしょうか。
 
アナログ作業になりがち、作業量が増えることが負担になる割合が高い、入力ミスが生じる可能性が高いといった属性を持つ業務が、デジタル化の恩恵を受けやすいということを考えると、送り状発行業務だと言えます。

送り状は、受注した商品を配送するたびに発行が必要になるものです。そのため多頻度小口配送がスタンダートになっている現在は、発行頻度が急増しており、その対応が実務担当者の業務負荷の増大に大きく影響しています。
その作業が手書きであるなら、輪をかけて負担がかかってしまっているはず。業務量の増加に応じて必然と書き損じや記入ミスなども増え、決められた集荷時間に間に合わず、クレーム事案になってしまうケースもあるでしょう。

そのような問題や、送り状発行業務の負荷を軽減するために、現在多くの企業で浸透してきているのが「送り状発行業務のデジタル化」です。

ここで言うデジタル化とは、アナログの顧客名簿や表計算ソフトなどで管理していた情報を「送り状発行システム」などのデジタルサービスに取り込み、そのツール上でデータ管理や送り状の発行を行うことを指します。

 

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送り状発行システムとは、必要項目を入力するだけの簡単操作で、自社で利用しているパソコンとプリンタで、運送会社の各種配送伝票に即した送り状が発行できる送り状発行業務の効率化に直結するデジタルサービスのこと。一度登録してしまえば、システム上で顧客データや出荷情報データの管理もできるため、発行業務の時間短縮、人為的ミスが少なくなる、データの管理・検索・共有が容易になるといった業務面のメリットが得られるほか、一件ずつ伝票番号を入力することなく配送状況の一括問合せや、システム内から発行した送り状をメール送付できるなど、さまざまな業務効率化が期待できます。
また、結果として送り状の控えを紙伝票で保管する必要がなくなるため、ペーパーレス化の推進にも一役買ってくれる点もメリットの一つと言えるでしょう。

送り状発行システムは、運送会社が自社の送り状を発行できるサービスを提供していることが多く、企業からの希望に応じて無償あるいは低価格でパソコンとプリンタのセットを提供しているほか、インストール不要ですぐに始められるクラウドサービスとして提供していることもあります。これらのサービスは、イニシャルコストおよびランニングコストもやすく、申し込みを行ってすぐに利用ができる点も魅力なサービスです。
運送会社が提供しているサービスということもあり、「すでに送り状発行システムを利用している」というケースも少なくないと思いますが、「まだシステムを利用していない」「手書きで送り状を発行している」という場合は、まずはこのシステムの利用から業務の効率化をスタートしてみましょう。

上記で解説した通り、送り状のデジタル化は「アナログの顧客名簿や表計算ソフトなどで管理していた情報を送り状発行システムなどのデジタルサービスに取り込み、そのツール上でデータ管理や送り状の発行を行う」という簡単な方法で、すぐに行うことができます。しかも、サービスは普段利用している配送会社のものを低コストで利用でき、業務効率化につながる多くのメリットが得られるのですから、出荷業務のデジタル化は送り状の発行業務から始めるのがスムーズと言えるでしょう。

また、すでに送り状発行システムを利用しているという場合であっても、運送会社ごとに複数のシステムを利用している場合は、業務効率を改善する余地はあります。
その方法は、運送会社を一つにまとめてしまうという方法です。配送料金だけを考えてしまうと、それほどメリットが感じられないかもしれませんが、運用や業務そのものをトータルで考えると、送り状発行にかかる時間や費用のコストはグンと削減することができ、大きなメリットとなります。
 
例えばシステムの運用面では、複数システムで複数回、異なる操作方法で行っていた作業が、一つのシステム一つの操作方法に統一されることで、異なる操作方法の習得や運用の作業の煩わしさといったものがなくなり、作業工数・時間、それにかかる人件費を一気に削減することができます。さらに、運送会社への商品の受け渡し、配送状況の問い合わせへの対応といった工程も一元化されることになるため、送り状発行以外の面での効率化も期待できます。
つまり、配送会社を一つにまとめてしまうだけで、送り状発行にかかる業務時間や関連コストのコンパクト化が実現するということです。複数システムの利用によって生じる“手間”は、本来必要のないもの、著しく業務の効率化を阻害しているものです。一つ一つの見返りは小さいかもしれませんが、多頻度小口配送によって業務が激増してしまっていることを考えれば、その見返りの積み重ねは、結果として大きなものになるということを理解しておくべきと言えます。
なお、2022年1月に施行された電子取引書類の電子保存を義務付ける「電子帳簿保存法」は、デジタル化した送り状も対象となっています。送り状発行システムは、電子取引データをきちんとデータで保存・管理できるシステムですので、電子帳簿保存法対策として有用なツールであるということも覚えておくとよいでしょう。

さらなる業務の効率化を目指すならデジタルサービス同士を連係させる

送り状発行システムは、受注管理システムや倉庫管理システム、請求書発行サービスなどの送り状発行以外の業務効率化を目的としたデジタルサービスと「連係」させることで、さらなる出荷業務の効率化を図ることができます。

「デジタルサービスの連係」とは、特定の業務を効率化するために利用しているデジタルサービス(ツール/ソフトウエア)同士をつなげてデータを共有することを指します。
例えば、送り状発行サービスと、見積書・納品書・請求書・領収書の4種類が作成できる請求書発行サービスを連係させると、片方のサービスで登録されたデータが、もう片方のサービスでも利用ができるようになり、1つのデータで送り状・見積書・納品書・請求書・領収書の発行が可能になります。また、データが両サービス間で共有されると同時に、それぞれのデータに紐づけられることにもなるため、配送状況の問い合わせがあった際や、伝票をまとめる際などに、一つの商品に紐づく情報をまとめて呼び出すことができ、グンと効率が向上します。

 

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両者の連係は、特に複雑な設定や申し込みを行う必要はなく、すぐにできることです。ユーザーが利用時に特別何かをする必要はなく、自社で使用しているソフトウエアに対応しているAPIを利用したサービスを選ぶだけで自動的に連係されることになります。

実際に送り状発行サービスと、見積書・納品書・請求書・領収書の4種類が作成できる請求書発行サービスを連係させた際の操作画面は、以下のようなものになります。

 

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このように連係のために行う操作は、片方のサービスで文書を作成した際のデータと連係先のサービスを選ぶだけ。簡単なボタン操作だけで、データが両サービス間で共有され、それぞれのデータに紐づけられることになります。

デジタルサービスは、業務効率化を手助けしてれくれる以外にも、インターフェイスがシンプルで使いやすいことや、初期投資なしの月額定額制で利用できること、わからないことがあってもサービスを提供している企業からのサポートを受けられることなどでも魅力があるサービスです。
また、デジタルサービスは連係させてこそ、力を発揮するものでもあります。どのサービス同士が連係可能なのか、どんなサービスと連係させるとより高いパフォーマンスを得ることができるのかといった疑問は、事前にサービス提供会社に確認しておくとベターです。

多頻度小口配送の対応に手を焼いているのであれば、早急に出荷業務のデジタル化やデジタルサービスの利用、デジタルサービス同士の連係に着手するべきだと言えます。その第一歩として最適なのは、着手しやすく、実利的なメリットも多い送り状の発行業務です。簡単操作かつ少ない工数で、出荷業務の負担とミスを激減させることができる送り状発行システムは、多頻度小口配送がスタンダードになった時代において必要不可欠なもの。新しい生活様式が浸透する中でスマートな業務を行うためにも、早急にデジタル化や一元化、連係を進めていきましょう。

発見POINT

  • 出荷業務の効率化を安く・速く・確実に行うならデジタル化がベター

    多頻度小口配送への対応によって生じる業務の負担と、それに伴い生じる誤発注や送り状の書き損じといったアナログ作業によるミスを削減するためには、出荷業務の運用を見直し、デジタル化やデジタルサービスの利用という手段で業務の効率化を進めていく必要があります。デジタル化やデジタルサービスの利用の特徴は、費用をかけず、スピーディに導入・運用ができる点や、一部でもアナログな作業が生じている業務を確実に効率化し、人為的なミスが発生する可能性をグンと下げてくれる点にあります。

  • デジタルサービス同士を連係させるとさらにパフォーマンスがアップする

    送り状発行システムと、請求書発行サービスなどの出荷業務に関わる業務効率化を目的としたデジタルサービスを「連係」させることで、片方のサービスで登録されたデータが、もう片方のサービスでも利用可能となり、複数業務が連動。相乗効果でさらなる業務効率の向上が期待できます。また、それぞれのデータが紐づけられることによって、同じ商品を対象としたものをまとめて検索することも可能に。配送状況の問い合わせがあった際や、伝票をまとめる際などの作業効率もグンと向上します。

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